「羽田空港衝突事故」とは何だったのか? エアバス・ボーイングの明暗くっきり、管制負担も増加の一途か
JALが見せた「奇跡」
2024年の幕開けは途方もなく暗いものとなった――。
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元旦、能登半島地震が日本中を震撼(しんかん)させた。翌日、羽田空港に着陸したJAL機が、離陸のため滑走路に駐機していた海上保安庁の航空機(以下、海保機)と衝突し、JAL機側に死者は出なかったが、海保機側は6人中5人が死亡した。
この事故は発生以来、さまざまなメディアで報道されている。本稿では、いくつかの視点から事故を振り返ってみよう。
JALは今回の事故を受け、安全対策で高い評価を得た。乗客乗員379人全員を18分という短時間で避難させたことは「奇跡」として世界に報道された。特に、コックピットとの交信がないなかでの客室乗務員の的確な判断は際立っていた。
また、機内のアナウンス機能も損なわれていたなかで、メガホンを使って乗客に個別にきめ細かく対応したことも特筆される。日頃から緊急時の訓練を行っている航空会社とはいえ、これほどの対応が可能だったのは、担当した客室乗務員たちが優秀だったからだ。
報道された映像によれば、乗客はパニック状態に陥りながらも非常口に殺到することなく、座席に座って客室乗務員の指示を待ち、冷静さを保っていた。「奇跡」の実現は、客室乗務員だけでなく、乗客の貢献も大きかった。
一方、航空機の損害に対しては保険料が支払われるが、今回の事故を受けて保険会社が今後の保険料を値上げすることで、保険料の支払いコストが増加する可能性がある。
また、今後の生産計画(運航計画)への影響も大きい。コロナ禍が収束し、航空需要は本格的に回復しつつあるなか、エアバス350-900型機という燃費がよく、搭載容量も大きい最新鋭機を1機失うことは、JALにとって大きな機会損失となる。JALは1月4日時点で約150億円の営業損失を計上する計画だ。