訪日観光客の96%が日本に「満足」 もしそうなら、観光は“平和”を創造できるかもしれない【リレー連載】平和産業としての令和観光論(4)

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コロナ禍や世界各地の戦争を乗り越え、観光が平和と国際協力に与える影響を探るリレー連載。異文化理解や対話の促進を通じて、観光は「平和産業」としてどのような役割を果たすべきかを検証する。

観光で平和をつくること

ロンドン(画像:写真AC)
ロンドン(画像:写真AC)

 平和だからこそできる観光だが、

「観光で平和をつくる方法」

はあるのか。これは英国男性から聞いた彼の親族の話である。

 第二次世界大戦で日本と英国が戦った。「日本は悪い国だ」と親にいい聞かされながら大人になった女性だったが、日本の桜をどうしても見たくなって来日。会う人、会う人、みな親切で、日本人に対して抱いていた印象が一気に変わる。桜がきっかけで知り合った日本人男性とその後結婚してしまった。

まるで映画のような話だが、観光が平和につながった一例である。

 例えば騒音は、その発生元のことを知れば不快感が減るといわれる。それと一緒で、相手をよく知れば、嫌悪感や苦手意識は減る。また、人はかつて旅行した土地がテレビに映れば熱心に見るし、事件でも起きれば強い関心を持つものだ。そういう気持ちは平和につながるのではないか。きっかけは何でもいいが、

「取りあえず日本に来て、知ってもらう、日本人に接してもらう」

のがよい。訪日外客に詳しい人たちも、交流の需要を話す。英語訪日メディア『ジャパンガイド』編集者のフランク・ウォルター氏によれば、

「日本に来たい理由は日本人を知りたい、日本人を知りたいというか『交わりたい』という気持ちが結構強い」(2023年9月26日付『NHK クローズアップ現代』)

という。観光案内所コンシェルジュの河野涼子氏も

「昔から外国人旅行者は現地の人との会話による交流を楽しみたい。という思いがある」(2023年4月25日付『Jtb Communication Design』)。

と話す。

 観光庁が外国人旅行者に採ったアンケートでは、日本の外国人観光客の受け入れ環境全般に関して、

「言葉が通じにくいとこもあるが 人々が親切に助けてくれるので問題ない」
「人々はとても親しみやすく親切。何か尋ねても親切に対応してくれる。みんなが思っている以上に旅行しやすい環境」

とあった。交流して親切にしてもらえば、その印象は強く残るものだ。

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