カナダ、新車販売100%“環境車”へ 普及の課題は「広大な国土」「厳しい冬」、35年目標は達成できるか
カナダ政府は自動車メーカーに対し、2035年までに国内で販売するすべての乗用車をゼロエミッション車にすることを義務付ける規則を発表した。実現できるか。
ZEV化100%への課題
カナダの新車販売台数は約160万台(2023年)と予想されているが、そのうちEVは10数万台程度だ。2035年頃には、カナダの新車販売台数は200万台を超えると予想されており、カナダ政府はそのすべてをZEVにするという目標を掲げている。この目標を達成するための課題について考えてみよう。
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まず、カナダは世界第2位の国土を持ちながら、人口密度は約4000万人、1平方キロメートル当たり約4人と比較的低い。ちなみに日本の人口密度は345人で、カナダの約86倍である。
広大な国土を持つカナダでは、EV充電網の拡充が急務である。ただ、カナダ特有の問題として、国土の大半が冬の寒冷地であるため、冬場のバッテリー航続性能に不安がある。また、住宅事情は、50%以上のカナダ人が一戸建てに住んでいるため、自宅やガレージでの充電が容易である一方、3分の1以上のカナダ人が集合住宅に住んでいる。課題は、集合住宅や商業ビルに大規模な充電インフラを建設する必要があることだ。
カナダ政府がこれまでに発表したEV普及のための政策は、次のとおりだ。
・ZEV向けインセンティブプログラム(iZEV)延長に20億ドル(約2100億円)を提供
・EV充電ステーションに4億ドル(約430億円)を提供し、5万基を追加
カナダ政府はEVシフトを加速させるために資金を提供してきたが、今後もさらなる資金が必要になるだろう。では、実際にカナダでEVがどの程度普及しているのかを見てみよう。