京都駅周辺「再開発ラッシュ」 過去のいわれなき差別乗り越え、古都の“玄関口”は街の中心に生まれ変われるか
京都駅周辺に新たな街が誕生
京都市下京区の京都駅が大規模改修されるのをはじめ、京都駅周辺が開発ラッシュの様相を示している。四条河原町を押しのけて街の中心に生まれ変わる勢いだ。
京都駅に到着した列車から大きなバッグを引きずった訪日外国人が次々に降りてくる。年明けの京都は観光の繁忙期ではないが、狭いホームは大混雑が続く。名勝の嵯峨嵐山地区と結ぶ嵯峨野線ホーム。ワクワクした表情の訪日客のかたわらで、市民はうんざりした顔を浮かべる。
混雑は駅構内だけでない。烏丸口や八条口の路線バス、タクシー乗り場は新幹線が観光客を運んでくるたびに長い列ができる。みどりの窓口や券売機の前に行列が生まれるのも、年中行事となっている。
JR西日本によると、京都駅在来線の1日当たりの乗車人員は10月現在で約18万人。訪日客が回復したことでコロナ禍前の約9割に戻っている。東京都世田谷区から夫婦で観光に来た男性(66歳)は
「訪日客増加に駅のキャパシティーが追いついていない」
と苦笑した。
駅に橋上駅舎と新通路を整備
そんな京都駅の大規模改修が2023年末、JR西日本と京都市から明らかにされた。
西口改札の西側へ四つの自動改札などを備えた橋上駅舎を増設、駅北側に出る幅6mの新しい自由通路を新設する計画だ。事業費は約195億円。国の補助金を活用し、京都市も一部負担する。使用開始は2031年度を見込んでいる。
京都市歩くまち京都推進室は
「駅改修で南北自由通路を通る1時間平均約1万6000人の利用客のうち、2割が新改札へ向かうと予測している。その分、駅西側のにぎわいが増しそう」
と期待している。
駅の北側では、日本郵便とJR西日本グループの京都駅ビル開発が京都中央郵便局や隣接する立体駐車場を地下4階、地上14階建て延べ約13万平方メートルの複合施設に建て替える。商業施設、ホテル、オフィスなどを入れるほか、1階にバスターミナル機能を持たせる計画だ。開業は2029年度以降の予定。完成後はバス利用者も分散される。
高さ131mのランドマーク・京都タワーも建て替えが検討されている。京阪ホールディングスは詳細な計画を2030年度までに立てる方針で、観光施設としての魅力向上を図る考え。これらの計画がすべて完成すれば京都駅前の風景は一変しそうだ。