テスラ世界制覇への道 2030年「2000万台目標」ブチ上げ、新工場を巡るタイ・インド首相の思惑とは

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ロイター通信が2023年5月、テスラのイーロン・マスクCEOの「2023年末までに新たな工場の建設地を決める」との発言を報じた。それ以来、新工場の誘致合戦は日を追うごとに過熱し、各国は候補地を巡ってしのぎを削っている。

インド市場の展望

テスラCEOのイーロン・マスク氏(画像:AFP=時事)
テスラCEOのイーロン・マスク氏(画像:AFP=時事)

 一方、有力候補として名前が挙がっているインドにも注目が集まっている。

 2023年6月、イーロン・マスク氏がインドのモディ首相と会談し、インドへの大規模投資に強い意欲を示したとブルームバーグが報じている。関係筋の話として、テスラが2024年からインドにEVを輸出し、2年以内に現地工場を建設することでインド政府と合意間近だという。

 また、2024年1月にモディ首相の地元であるグジャラート州で開催されるイベントで正式発表される可能性があるとも報じている。同州以外にも、マハーラーシュトラ州やタミル・ナードゥ州も候補地として検討されているようだ。

 新工場の建設と並行して輸入関税の引き下げによる輸入販売も検討されており、現在70~100%(車両価格4万ドル以下は70%を適用)の輸入関税が15%に引き下げられれば、年間1万2000台以上の輸入販売が可能となる。

 投資額は最大20億ドル(約3000億円)とされているが、これではフル生産は不可能とみられ、車両の最終組み立てのみとなる可能性が高い。また、生産されるモデルは、新規投入車種のなかでも最廉価クラスとなる可能性が高い。

 インドの乗用車市場は現在、中国、北米に次ぐ世界第3位の規模であり、インド政府が目標とする乗用車のEV化率30%(2030年)は台数ベースで約180万台と想定されている。インド政府は、タタやマヒンドラなどの地場自動車メーカーにも配慮しつつ、輸入関税を15%程度に維持する保護主義的な政策を採りながら、EV市場の拡大を目指すとみられる。

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