JR各社で加速する「駅の無人化」「みどりの窓口廃止」 合理化社会から取り残される高齢者・障害者の圧倒的リアリティー

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JR各社で駅の無人化やみどりの窓口の廃止が加速している。人手不足対策や合理化が目的だが、高齢者や身体障害者ら社会的弱者が置き去りにされているようにも見える。

加速するJR無人化

2021年にみどりの窓口が廃止された徳島県鳴門市の鳴門駅(画像:高田泰)
2021年にみどりの窓口が廃止された徳島県鳴門市の鳴門駅(画像:高田泰)

 JR各社で駅の無人化やみどりの窓口の廃止が加速している。人手不足対策や合理化が目的だが、高齢者や身体障害者ら「社会的弱者」が置き去りにされているようにも見える。みどりの券売機の前で高齢の女性が大慌てで画面をタッチしている。JR高徳線の栗林(りつりん)駅(香川県高松市)までの切符と特急券を買おうとしているが、なぜかうまくいかない。12月中旬、鳴門線の鳴門駅(徳島県鳴門市)で新しい券売機に戸惑う高齢者の姿が目に飛び込んできた。

 鳴門駅は2021年、みどりの窓口が廃止され、代わりにみどりの券売機が設置された。女性は他の利用客が手伝ってくれ、無事に列車に乗ることができたが、

「70歳を過ぎてこんなややこしい券売機は扱えない」

と肩を落としていた。

 高齢者が切符を買えずに困惑するトラブルが最近、全国で相次いでいる。背景にあるのは、JR各社が進めている駅の無人化やみどりの窓口の廃止だ。鳴門駅の女性のようなトラブルが、無人駅で起きていたらどうなっただろうか。

JR四国は駅の81%が無人

2024年3月までに無人化される徳島県藍住町の勝瑞駅(画像:高田泰)
2024年3月までに無人化される徳島県藍住町の勝瑞駅(画像:高田泰)

 駅の無人化は人口減少が著しい北海道や東北、四国、南九州などで拡大している。共同通信社が8月上旬、JR6社から聞き取ったところ、全国4368駅のうち、

「58%」

に当たる2522駅が無人になっていた。

 このうち、JR四国は全259駅の

「81%」

に当たる210駅が無人駅。しかも、12月29日に無人化する土讃線の佐川(さかわ)駅(高知県佐川町)を含め、2024年3月までに計12駅から駅員が消える。有人駅は37駅になるわけで、1日乗降客が2000人を超す

・端岡駅(高松市、予讃線)
・勝瑞駅(徳島県藍住町、高徳線)

も含まれ、大西秀人高松市長が撤回を求める一幕があった。

 徳島県は6駅が無人化され、有人駅が現在の13駅から7駅にほぼ半減する。車いすの身体障害者が鉄道を利用するには、駅員の介助が必要だが、これだけ有人駅が減ると十分な対応ができない可能性もあり、身障者団体から困惑の声が出ている。

 JR四国は利用者の減少で危機的な経営状況。2022年度は瀬戸大橋を渡る本四備讃線が営業利益を出した以外、全線区が赤字を計上した。経営合理化が急務で、2021年に32駅に設置していたみどりの窓口も16駅に減らした。JR四国は

「スマートフォンの切符購入アプリを使ってほしい」

としているが、スマートフォンを扱えない高齢者には荷が重い。

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