修理が難しい「EV」「PHV」 この問題に対する部品メーカーの回答とは
駆動系が電動化されたクルマでは、深刻な問題が浮上している。それは、バッテリー、インバーター、コントロールユニット、電動アクスルといった重要部品の修理が、ディーラー以外の独立系整備工場では困難であるということだ。
EV整備の行く先
クルマとしてだけでなく、商品としても魅力的で市場競争力のあるバッテリー式電気自動車(BEV)が市販化されて10年以上が経過した。また、自動車市場に変革の波をもたらしたハイブリッド車(HV)を進化させプラグインハイブリッド車(PHV)も勢いを増している。
こうしたなか、これら駆動系が電動化されたクルマでは、深刻な問題が浮上している。それは、バッテリー、インバーター、コントロールユニット、電動アクスルといった重要部品の修理が、ディーラー以外の独立系整備工場では困難であるということだ。
この問題に関する極めて深刻な状況は、ほぼ1年前の2022年末に数字で明らかになった。そのきっかけとなったのは、法人向けの総合車両管理会社であるナルネットコミュニケーションズ(愛知県春日井市)が、提携先の独立系自動車修理工場を対象に対応可能な業務に関する調査を行ったことだった。
この調査には1225件の有効回答が寄せられた。調査は、
・BEV、HV、燃料電池車(FCV)などの電動車の修理は可能か
・自動運転装置搭載車へのセンサー調整は可能か
・エアコンの新冷媒「1234yf」への対応は可能か
といった項目で実施された。
このうち電動車の修理が可能と回答したのは約45%と半数に満たなかったことが特に問題であった。また、この数字にはHVも含まれているため、BEVやFCVに限定すれば、その割合はさらに低くなることが予想された。
筆者(泉圭一郎、自動車業界ウォッチャー)は、この数字がどのように変化するか注視してきた。しかし、状況は大きくは変わらなかった。その結果、2023年を通じて独立系自動車修理工場で電動車の修理サポートが受けられるかどうかという問題については、悲観的な見方が何度も繰り返されることになった。