JR九州が鹿児島「指宿枕崎線」を協議対象に カツオもびっくり? 輸送密度“最悪”じゃないのになぜか

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JR九州は鹿児島県を走るJR指宿枕崎線の一部について将来のあり方を地元と協議したい考えを示した。“もっと閑散とした区間”があるのに、なぜ指宿枕崎線が選ばれたのだろう。

バス転換は運転士不足で困難な状況

校外学習に指宿枕崎線を利用する児童ら(画像:指宿枕崎線活用に関する検討会)
校外学習に指宿枕崎線を利用する児童ら(画像:指宿枕崎線活用に関する検討会)

 だが、JR九州の2022年度区間別輸送密度で指宿~枕崎間より低い路線がある。最低は豊肥本線の宮地(熊本県阿蘇市)~豊後竹田(大分県竹田市)間の171、次いで筑肥線の唐津(佐賀県唐津市)~伊万里(佐賀県伊万里市)間の196。指宿~枕崎間はその次になる。なぜ、協議開始第1号がワースト3の指宿~枕崎間になったのだろうか。

 考えられるのは、指宿~枕崎間が枕崎駅で他路線に接続しない

「盲腸線」

であることだ。

 宮地~豊後竹田間は熊本市と大分県大分市を結ぶ豊肥本線の中間部に位置する。唐津~伊万里間は唐津駅で唐津線、伊万里駅で松浦鉄道の西九州線と接続している。盲腸線の指宿~枕崎間を廃止しても他の2路線より影響が小さいと考えても不思議ではない。

 しかし、鹿児島県でも路線バスの運転士不足が急加速し、鹿児島交通や南国交通、鹿児島市交通局が減便に追い込まれている。指宿~枕崎間を廃止しても代替交通を見つけるのは容易でない。南九州市企画課など沿線3市の担当部署は

「鉄路は地元の大切な足。何としても維持したい」

と力を込める。

 全国に目を向ければ、JR西日本が岡山県と広島県を結ぶ芸備線の一部区間について国の再構築協議会設置を要請したほか、JR東日本は千葉県の久留里線、青森県の津軽線の一部区間で存廃協議がスタートさせるなど、各地でローカル線の存廃論議が進みつつある。

 2024年は全国が存廃協議ラッシュとなりそうな雲行きだが、指宿~枕崎間は盲腸線のハンディを乗り越え、生き残りの秘策を見い出すことができるのだろうか。鹿児島県と沿線3市の真価が問われるのはこれからだ。

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