多摩ニュータウン「再生本格化」 その背景にあった、車道・歩道が交差しない「歩車分離」の誤算
東京西部の多摩ニュータウンの再生が本格化している。その背景には一体何があるのか。
「歩車分離」の誤算
東京西部の多摩ニュータウンの再生が本格化している。東京都は10月下旬、有識者や地元自治体などで構成する「多摩ニュータウンの新たな再生方針検討委員会」を設置し、初会合を開いた。会合では、高齢化と老朽化が進むニュータウンを現代のニーズに合わせる必要性が指摘され、具体的な再生策が課題として浮上している。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
多摩ニュータウンは、
・多摩市
・八王子市
・町田市
・稲城市
の4市にまたがる広大な住宅地で、現在も約22万人が暮らしている。しかし、開発から50年以上が経過した現在、さまざまな課題に直面している。特に、移動の困難さが問題になっている。交通事故が多発した高度成長期に対応するため、多摩ニュータウンの設計は車道と歩道が交差しない「歩車分離」が徹底された。これは当時としては極めて先進的な設計思想だった。
しかし、歩車分離のために階段を多用したことで、高齢化した住人の移動が困難になった。団地から幹線道路までの高低差が30m以上ある地域もあり、ちょっとした外出も困難となった。また、建物自体が旧耐震基準で建てられたものが多く、エレベーターがない。東京都の再生方針は、団地を順次建て替え、駅周辺に商業施設などの機能を集中させ、コンパクト化を推進することである。
高度成長期に開発された他のニュータウンも同様の問題を抱えている。これらの多くは丘陵地に建設され、最寄り駅へのアクセスはバスを前提としている。
今後人口が減少していくなか、最寄り駅から遠く離れた広大な土地にニュータウンを建設する必要性を再考する時期に来ている。