「EV」が日本で普及しない超シンプルな理由 航続距離? 充電インフラ? いやいや違います
なぜ日本ではEVが普及しないのか。さまざまな理由が挙げられるが、結局、車両価格が高いからだろう。
EV普及の妨げとなる価格

その結果、日本も市場参入の機会を失っている。2022年の世界のEV販売台数は約1020万台だ。このうち、約590万台を中国メーカーが占める。次いで米国が約99万台である。さらに欧州連合(EU)諸国では、ドイツが約83万台、英国が約37万台となっている。一方、日本は約41万台である。割合で見ると、中国が世界市場の57.8%を占め、次いでEU諸国が25.5%、米国は9.7%だ。日本は1%にすぎない。
なぜ日本ではEVが普及しないのか。これまで車両価格の高さ、航続距離の短さ、電力供給インフラの不足が指摘されてきた。筆者は、車両価格の高さを最大の理由と考えている。EVは同クラスのガソリン車に比べて約100万円高い。この価格差が、消費者にとって購入を阻む大きな壁となっている。
一例として、軽EVの日産「サクラ」や三菱「eKクロス EV」を見てみると、これらの車両は政府のクリーンエネルギー自動車(CEV)補助金を利用しても、上級グレードのスーパーハイトワゴンとほぼ同じ価格である。つまり、補助金があってもガソリン車と比較してEVを選ぶ際には、まだ大きな価格差がある。
維持費やメンテナンス費用が安いという利点は確かにある。しかし、それでも多くの日本人が手を出さないのは、自動車を将来売却する際の価値、つまり資産としての安定性に不安があるからだ。バッテリーの劣化や技術が進歩する速さを考えると、数年後の価値が大幅に下落する恐れがある。生活に余裕がない人々にとって、売却価格が不明確な高額商品を買うことは、回収できないリスクを負う行為でしかない。車両価格の高さに戸惑うのは、今の日本が貧しい国だからである。
将来の資産価値を保証できない乗り物に大金を投じる体力が、今の国民には残っていないのだ。