ライドシェアは「白タク」の別名にすぎない! そもそも80~90年代、“暴力団の資金源”だったことを忘れたのか

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政府が本年度中に、ライドシェアの新制度を設ける方向で動いていることが明らかになった。この新制度は、タクシー不足の地域や時間帯に限り、タクシー会社の管理の下、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶことができるというものだ。

バブル時代に急増したワケ

ライドシェアのイメージ(画像:写真AC)
ライドシェアのイメージ(画像:写真AC)

 白タクは、自動車さえ持っていれば誰でもできる「手軽」な犯罪である。そのため、戦後の日本では、さまざまな形で、タクシーの需要が不足するたびにこの問題が浮上してきた。

 特に1980年代後半のバブル期には、

「タクシー不足」

から白タクが急増した。この時期、利用者側には白タクを問題視せずに利用する風潮すらあった。当時の状況を記録した記事を紹介する。

「「○○まで、あと2人。乗らないか」。低い声で、順番待ちの客に声をかけていく。いかがわしくて、くらーい雰囲気。競馬場などで時々、見かける光景と同じだ。ところが、客の方は、いとも簡単に誘いに応じるのだ。待ってました、という顔付きで飛びつく会社員風の男、長い間待つよりいいわ、という感じのOL。2人どころか、定員いっぱい5人がたちまち集まってしまう。客の方には、後めたさなど全くない。(中略)相場はU市までで2000円とか。メーター料金より随分安い。ぶったくりならぬ、ディスカウント白タクなのである。運転手にしても、5人から頂けるので取り分は大きい」(『朝日新聞』1989年9月10日付朝刊)

 好景気を背景に、タクシーは長距離客が見込める場所に集中していた。長距離以外の客を乗せないモラルのないドライバーも横行していた。利用者にとっては、白タクは違法ではあるが便利な乗り物とさえ認識されていた。

 正規のタクシーがなかなか捕まらないなか、白タクであっても乗ろうとする利用者が絶えなかった。便利な反面、違法であるため、

「事故が起きても補償がない」

にもかかわらずだ。これは白タク排除の啓発によく使われるロジックだったが、あまり気にする人はいなかった。

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