EVビジネスの革新? 日本のような資源小国にとって「3R」バッテリーが未来の技術かもしれない
バッテリー材料の未来

EV用バッテリーにとって極めて重要な金属材料であるコバルトとニッケルの価格が、2011年頃から乱高下している。
コバルトについては、2011年から2016年にかけて重量1ポンドあたり10ドルから15ドル程度だったものが、2017年には45ドルと3倍に跳ね上がった。その後も小刻みな乱高下を続け、2022年には40ドルから20ドルまで下落するなど、市況は予断を許さない。
同様に、2011年に1t当たり2万ドル前後だったニッケル価格は、2016年に5000ドルまで暴落した。その後徐々に上昇し、2021年には3万ドルを超える水準まで高騰した。現在も価格は2万ドルから3万ドルの間で乱高下している。
もうひとつの重要資源であるリチウムは、最近の中国のEV市場の減速にともない、大幅な下落傾向にあるといわれているが、これがいつまでも続く保証はない。
このような不安定要素ばかりが目立つバッテリー材料業界において、安定したビジネスを行うために重要なことは、継続的かつ安定的に資源を確保することである。
ここでリサイクルビジネスの活性化によって、都市鉱山が安定的に操業できるようになれば、将来の見通しも立てやすくなる。現在のリサイクルの問題点は、どうしても技術にコストがかかり、製品価格が高くなる可能性があることだ。
安定供給を取るか、低価格を取るか――というビジネス上の選択は難しい。しかし、この分野の技術革新によって、廃バッテリーの迅速な解体や精密な分別が可能になれば、いずれはそちらがメインになることも想定される。つまり、リサイクルはバッテリーそのものの技術革新や上記のリデュースと密接に関係しているのである。
3Rでのバッテリービジネスは、資源小国である日本が循環型エネルギー社会へと構造を転換していくためのキーテクノロジーとなるかもしれない。