EVビジネスの革新? 日本のような資源小国にとって「3R」バッテリーが未来の技術かもしれない
EV用バッテリーの新アプローチ

こうした市場動向を踏まえ、日本におけるEV用バッテリー関連ビジネスはどうなるのか。トヨタは先日、新たに「3R」と呼ばれるサーキュラーエコノミー(資源循環型経済システム)への本格移行を発表した。
3Rとは
・Reduce(リデュース)
・Rebuild/Reuse(リビルド、リユース)
・Recycle(リサイクル)
である。このうち、リユースとリサイクルは、バッテリー関連の話題でよく取り上げられるフレーズだ。
リユースとは、比較的劣化の少ない廃バッテリーを産業用蓄電池システムなどに再利用することだ。リサイクルとは、廃バッテリーを原料レベルまで解体・分別し、バッテリーの製造材料として再利用することである。
新たに追加された概念であるリビルドとは、再利用目的よりも状態のよい廃バッテリーを再整備し、EVやPHVの補修交換品として販売することである。これまでもプリウスの一部車種などで実施されており、現在、利用範囲を拡大している。
しかし、こうしたEV用バッテリーのビジネス需要に応えるためには、バッテリー自体の基本性能を向上させ、経年劣化を抑える必要がある。これはEV用バッテリーのリユースビジネスにおける長年の課題である。前述の一部の事例を除き、バッテリーは基本的に経年劣化するものであり、長期的に安定した性能が保証できないことから困難とされていた。
そこで登場したのが、もうひとつの新語「リデュース」だ。これは、EV用バッテリーの安定性、低劣化性、エネルギー密度といった基本性能を大幅に向上させる技術革新を推進することを指す。
バッテリーのバイポーラ構造などもこれに含まれるといってよい。また、現在EVやPHVの運用において重要な課題とされている寒冷地での性能劣化の防止や、寒冷地での充電性能を向上させるための保温・加温装置の効率的な運用もこの分野の仕事である。
リサイクルにはほかにも大きな目的と意義がある。それは、国際的な資源争奪戦になりがちなバッテリー材料の安定供給の確立である。