東京駅の丸の内駅前広場に、昭和中期まで「ガソリンスタンド」があった!
東京駅丸の内駅前広場は、今では整然とした美しい広場だが、実は意外な過去があった。かつて、この広場の一番目立つ場所にガソリンスタンドがあったのだ。
丸の内駅前広場の変遷
東京駅丸の内駅前広場は、今では整然とした美しい広場だが、実は意外な過去があった。かつて、この広場の目立つ場所にガソリンスタンドがあったのだ。
当時の資料によると、ガソリンスタンドは
「千代田区丸の内1丁目1番地」
にあった。現在の新丸の内ビルディング向かいの駅前広場にあったとされている。現在の東京駅丸の内北口に面した広場である。
なぜそんな場所にガソリンスタンドができたのか。ガソリンスタンドが初めて登場するのは、1967(昭和42)年3月11日の『朝日新聞』朝刊の記事である。この記事のタイトルは「大地下駅の邪魔になる 東京駅前のガソリンスタンド 国鉄、立ち退きを求め訴え」で、国鉄と事業者の対立について詳しく書かれている。
記事によれば、このガソリンスタンドは1950年に設立された。事業者の前経営者が国鉄に用地使用願を提出し、駅前広場の532平方メートルの使用許可を得たとある。国鉄が公共用地であるはずの駅前広場を民間企業に貸した理由は次のとおりである。
「当時、東京駅周辺の復興は進まず、駅前は寂れていたため、国鉄も軽い気持ちで土地を貸し出した。しかし、この契約には、国鉄が必要とするときにはいつでも立ち退くという条件が付いていた」
現在、皇居に面した東京の玄関口となっている丸の内口は、当時ひどく荒廃していた。そこで、国鉄も土地を貸してひともうけしようと考えたようだ。