京都市の「観光公害」も解決? まだまだマイナーな「手ぶら観光」、驚くべきその効果とは
国交省の調査結果
手ぶら観光は観光客にとって便利なサービスである。しかし、京都の例の場合、問題の対象となるのはインバウンドであることが多い。手ぶら観光は外国人に浸透しているのだろうか。
もう少し外国人にアピールしてもよいのではと思っていたところ、どうやら国土交通省も随分以前からそう感じていたようだ。2020年の東京オリンピックを見据え、同省は2013年時点でインバウンドを対象に手ぶら観光に関する調査を実施した。その結果、次のような認知度が明らかになった。
・実際に利用経験のある人は2%
・認知度は10~20%程度
そして利用者の意見として多かったのは、次のような声だ。
・受付カウンターがわかりにくい
・補償やトラブル時の対応方法などに関する情報提供が不足している
・外国語対応が不十分である
改善の余地や課題は大きかったのか、その後、このプロジェクトはコロナ禍に飲み込まれてしまった。手ぶら観光は成熟しない状況のまま現在に至っている感が大きい。
国土交通省は、外国人が一目で手ぶら観光サービスの提供とわかる共通ロゴを作成し、一般業者や店舗が申請すればロゴの使用を認めている。
民間の宅配業者や観光協会が手荷物の一時預かりや宿泊施設への配送を行うだけでなく、免税店や一般店舗でも手荷物預かりサービスや、購入した商品を宿泊施設や空港などに送る手ぶら観光サービスを行うことができる。
インバウンド需要の高まりとともに、このロゴを使用する企業も増えている。ロゴの知名度が上がり、手ぶら観光が旅のスタンダードになれば、スーツケースや買い物袋をバスに持ち込むことも減り、車内にも少し余裕が生まれるだろう。
手ぶら観光が浸透すれば、「バスにスーツケースを持ち込んではいけない」という感覚も理解されるだろう。手ぶら観光は観光客にとって利便性の高いサービスであり、インバウンド経済の面でもプラスに捉えることができる。また、観光地の地元住民にとっても、弊害への対処法として歓迎されている。
手ぶら観光は今後、“旅のスタンダード”になっていくのではないだろうか。