京都市の「観光公害」も解決? まだまだマイナーな「手ぶら観光」、驚くべきその効果とは
インバウンド増加の問題
手ぶら観光が脚光を浴びるのは、観光客側の利便性のみの話ではない。観光客の増加で、経済活動面での活気が戻ったものの、受け入れる観光地側には新たな問題が巻き起こっている。
それは、観光公害とも呼ばれる「混雑」の問題だ。特に、観光地の市民が普段の生活で利用する公共交通手段への影響が大きい。有数の観光地である京都では、先日、路線バスと地下鉄を運行する京都市交通局が、異例のアナウンスをしている。
「市バスへのスーツケース持ち込みはご遠慮ください」
実は、もともと市バスに持ち込める手荷物のサイズは、「長さ1m、総容積0.027立方メートル、総重量10kg」と定められてる。しかし、この情報は積極的に周知されていたわけではなかった。
これまでは、
「乗客の良識」
に任せられていたのかもしれないが、特に外国からくる観光客はそんなことは知らない。(もしくは気にしない)当たり前のようにスーツケースや巨大なリュックサックとともに市バスに乗り込んでくる。
インバウンドや修学旅行客の増加し、それにプラスしての大きな荷物が車内に持ち込まれるため、市民の市バス利用に支障が出ている。バス乗り降りに時間を要してダイヤが乱れたり、通勤者が利用する市バスが満員で乗れなかったりするという事態も発生している状況なのだ。
京都市交通局としても、この状況を重く見てさまざまな検討を重ねており、スーツケースを置くスペースを設けた市バスの仕様も採用されるなど、対処はしてきているものの、限界が来ている。
「大型の荷物を有料化する」という案も検討された。しかし、ワンマンバスの運転手が乗客ひとりひとりの荷物の大きさを測る時間と労力を考えると、非効率的であり、何よりも非現実的である。そこで、「市バスへのスーツケース持ち込みはご遠慮ください」と声を大にして呼びかけることにした。しかし、観光客からすれば「じゃあ、荷物を抱えてどうしろというのか」となる。
そこで登場するのが手ぶら観光だ。
「荷物を預けよう」
「荷物を送ろう」
「手ぶらで出掛けよう」
という提案。つまり、荷物の持ち込みを断る代替案である。