荷主に代わって戦略立案 「3PL」は過去の劣勢から脱却できるか? 2024年問題でその真価が問われている
「2024年問題」への対応を迫られる荷主が目指す抜本的改革。物流企業は3PLサービスをどうすべきか。
3PLが物流業界に定着しなかったワケ
残念ながら、物流企業が定義通りの3PL機能を提供している例は少ない。荷主の物流を包括的に受託しているだけで、荷主に代わって物流戦略を立案する動きは少ない。その理由は次の3点だ。
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●3PLの普及が急速であったため
3PLの概念は1990年代に米国で生まれ、2000(平成12)年前後から日本に広まった。3PLは物流企業が目指すコンセプトそのものであり、瞬く間に普及した。しかし、その急速な普及の結果、物流企業内に3PL機能を提供できる人材が不足し、荷主の物流戦略立案につながらなかった。
●荷主の変革への意識が不足していたため
荷主が3PLを活用して物流を大きく変えようという意識が希薄だったことも事実である。物流企業が効率化を目指した提案をしても、「それは変えられない」の一言で片付けられてしまうことが多かった。このような荷主の対応が続くうちに、物流企業内では「言っても無駄」という考え方が主流になってしまった。
●デフレ下で荷主がコスト削減に注力したため
3PLの普及とときを同じくして、日本経済もデフレの影響を受けた。荷主の物流部門はコスト削減が急務となり、コスト削減を勝ち取るために物流企業と単価交渉を行い、3PLを提供する物流企業もこのコスト削減要求に応えて単価引き下げを続けた。その結果、荷主への提案よりも物流企業内でのオペレーションコスト削減が優先された。
このような理由から、3PLの概念が浸透してから数十年、3PLが本来果たすべき機能は物流業界に定着しなかった。