翼になぜか「支柱」付き! NASA・ボーイング共同開発機は、これまでの機体より何が優れているのか

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主流となっている飛行機は、主翼に支柱を備えていない。しかし現在、支柱付きの翼を持つジェット機の設計案が検討されている。なぜか。

TTBWが狙う効果

遷音速トラス支持翼。NASAエイムズ風洞での模型(画像:NASA)
遷音速トラス支持翼。NASAエイムズ風洞での模型(画像:NASA)

 飛行機が実用化された第1次世界大戦の頃、その主翼には羽布(はふ)と呼ばれる布材を小骨に張った薄翼が用いられた。そのため主翼そのものに強度がなく、2枚以上の主翼を支柱で結合し、張線と呼ばれるワイヤを張って、外力に対して変形しない構造にする必要があった。

 やがて厚みを持った主翼が発明されると、主翼の強度を保つ桁材を内部に備えることができるようになり、張線が廃止され、胴体からの支柱で主翼を支える単葉機も実用化された。そして、第2次大戦の前夜までには金属構造が採用されるようになり、支柱さえ持たない片持ち構造の単葉機が実現した。

 支柱や張線を持たない片持ち式の単葉機は空気抵抗が少なく、エンジンの進歩で速度性能が向上していく飛行機にとっては好都合だった。主翼の強度を確保するための厚みは、燃料タンクとしても有効に活用され、飛行機の航続性能向上にも大きく貢献した。

 ジェット機の時代になると、主翼の厚みが速度向上の障害になったが、翼を後方に反らした後退翼が発明され、現在のジェット旅客機の姿が完成したのである。

 X-66Aで実証されるTTBWは、せっかく不要にした主翼支柱を復活させるわけだから、これまでの進歩に逆らうようなアイデアだが、当然そこには十分な理由がある。

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