駅や電車内の「無料Wi-Fi」が徐々に姿を消しているワケ
東京メトロや京急、つくばエクスプレスなど、電車や駅での無料Wi-Fiサービス終了が相次いでいる。電車や駅だけでなく、コンビニエンスストアで提供されている無料Wi-Fiサービスも軒並み終了している。いったいなぜか。
衰退した原因

無料Wi-Fiが衰退した理由の第一は、より高速な5G回線の台頭だ。
ユーザーにとって強い味方だった無料Wi-Fiが、5Gにその座を奪われつつある。高速通信が可能な5Gが無料Wi-Fiを超える速度と安定性を提供できるようになったことで、無料Wi-Fiの需要は減少しているのだ。
コロナ禍の影響も無料Wi-Fiの衰退に拍車をかけている。在宅勤務やオンライン会議の急増に加え、無料Wi-Fiを頻繁に利用する訪日観光客が激減したことで、各社の無料Wi-Fiサービスも終了し始めた。実際に都営バス車内で利用できた「Toei Bus Free Wi-Fi」は2021年11月に“利用者数の減少”などの理由からサービスが終了。また2022年6月には東京メトロによる訪日外国人向け無料Wi-Fi「Metro_Free_Wi-Fi」も、“コロナ禍における訪日観光客の減少”などの理由から鉄道車内での提供を終了している。
また、利用者のデータ保護に対する懸念も高まっている。公衆Wi-Fiのセキュリティー上の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘され、個人情報の流出や不正アクセス、なりすましなどの悪用が懸念されている。
ICT総研(東京都中央区)が2023年4月に公開した「公衆無線LANサービス(公衆Wi-Fiサービス)市場に関する調査結果」によると、「安全性が向上すれば無料サービスのみ利用したい」と回答した割合は28.9%にのぼり、「有料のサービスも含めて利用したい」と回答したのは5.5%だった。この結果から、約3人に1人が無料Wi-Fiの安全性に不安を抱いていることが分かる。
これを解決するには、今後の技術開発とセキュリティー対策が課題となる。