京成・新京成「2025年合併」に隠された戦略とは? “ディズニー株”巡る外国人投資家とのバトル余波なのか
吸収合併はOLC株売却対案のカウンターか

新京成の吸収合併に関しても、
「京成はコア事業の鉄道事業の強化・拡大にも積極的だとパリサー側にアピールし、OLC株売却案を阻止するための“カウンター”と見る市場関係者は少なくない。パルサーが提案書を提出した時期とあまりにもシンクロしており、偶然とは思えないからだ」
と前述の業界関係者は語る。
実際、今回の新京成の件と似た動きが、京成グループ内の関東鉄道(茨城県土浦市)で起きている。京成は2019年7月に約30%を握る関東鉄道株の株式数を50%超にまで引き上げて子会社化すると発表し、現在約60.5%を押さえている。こうした動きに、早くも一部では、
「今回のパリサーの攻勢を京成はむしろ奇貨に捉え、中途半端に株式を握るグループ内の中小鉄道会社を、この際一気に束ね、かつて夢見た“大京成王国”の構築に動く可能性もある」
と、奇想天外な話も飛び出している。
なかでも、北総鉄道(千葉県鎌ケ谷市、京成が50.8%保有)が最有力株と見られる。2022年決算では累積赤字を解消し、まだ500億円規模の有利子負債を抱えるものの業績も上々で、何より京成の稼ぎ頭・スカイライナーが走る最重要路線であり、むしろ、いの一番に京成本体が直轄すべき路線だろう。
ほかにも、
・小湊鉄道(千葉県市原市、19%を保有)
・芝山鉄道(千葉県芝山町、約3.4%を保有)
・MRL
などを併合して鉄道事業の効率化とシナジー効果を発揮すれば、「コア事業は鉄道」と強調するパリサー側の要望にも合致する。
もちろん、各社が抱える有利子負債など財務状況の精査が必要で、
「線路がつながっているから」
「同じグループだから」
という理由で合従連衡(強敵に対抗する巧みな手段)の夢想は禁物だが、
「手塩にかけて育てたOLCの株を外国人投資家のために売却するくらいなら、同株を担保に融資を受け、関連企業の吸収合併に費やした方がマシ、と現経営陣は考えるかもしれない」(前述事情通)
との見方もある。
「京成vsパリサー」の攻防戦第2幕は果たしてどうなるのか。