京都「観光公害」止まず ごみ箱付近に“ペットボトル”散乱、コロナ前以上の賑わいに観光地“焼け石に水”の現実
10月の訪日外国人観光客数がコロナ禍前の2019年10月を上回った。京都市など国内の主要観光地は観光公害対策に躍起だが、急増する訪日客に追いつかない。
住民の我慢はもはや限界に
京都市で特に混雑が深刻なのは清水寺や祇園がある東山地区や、渡月橋や竹林の道が人気の嵯峨嵐山地区だ。その結果、東山行きの市バスや嵐山へ向かうJR嵯峨野線が大混雑し、住民の暮らしに影響が出ている。
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東山区の京都南座前では毎日、京都市が設置したごみ箱から訪日客が捨てたと見られるごみがあふれ、周囲にペットボトルなどが散乱している。祇園かいわいのごみ箱はどこもよく似た状態だ。市民がバスやタクシーになかなか乗車できないのは、当たり前になってきた。
そこで、京都市交通局は11月から土日祝日に京都駅と清水寺を結ぶ観光急行バスを新設するとともに、市内の鉄道駅と二条城、金閣寺など主要観光地を結ぶ臨時バスの運行、東山方面と京都駅を結ぶバスの増便を始めた。さらに、市営地下鉄の烏丸線を1日16往復、東西線を1日4往復増発している。
その結果、京都駅前のバスやタクシーの流れが比較的スムーズな時間帯も見られた。京都市交通局は
「駅前に立った肌感覚だと、これまでよりスムーズに思える。ただ、訪日客は予想以上に増え、紅葉シーズンもこれからが本番だけに、油断できない」
と気を引き締めていた。だが、混雑が解消できたわけではなく、住民の不満は高まっている。
政府は10月、観光公害対策をまとめたが、混雑に応じた鉄道の変動運賃導入や私有地への防犯カメラ設置支援など形だけの対策しか示せなかった。急激に増える訪日客を前になすすべがないわけだ。観光地にも人々の暮らしがある。訪日客の急激な増加を前に住民の我慢は限界に達しようとしている。