京都「観光公害」止まず ごみ箱付近に“ペットボトル”散乱、コロナ前以上の賑わいに観光地“焼け石に水”の現実
10月の訪日外国人観光客数がコロナ禍前の2019年10月を上回った。京都市など国内の主要観光地は観光公害対策に躍起だが、急増する訪日客に追いつかない。
訪問税導入の宮島にも訪日客が大挙
広島県を代表する観光地・廿日(はつか)市市の宮島(厳島)。住民約1400人が暮らす広島湾の小さな島だが、海上に立つ高さ16mの大鳥居で知られる世界遺産の厳島神社や、江戸時代の宿場風景を残す町家通りが訪日客の心をつかみ、9月は過去2番目となる37万5674人が訪れた。先進7か国首脳会議の舞台となったことも、海外での知名度を大きく高めている。
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宮島では10月から観光客を対象とする宮島訪問税が導入された。船便1往復につき、運賃に100円を上乗せして支払う仕組み。廿日市市は
「年間2億5000万円」
の税収を見込み、観光客の増加で混雑する公共トイレの増設などに充てる計画。
宮島を訪れる観光客を抑制するために設けた制度ではないが、負担増の影響がどう出るか注目を集めていた。宮島行きの船便を運行する宮島松大汽船や廿日市市宮島企画調整課によると、
「コロナ禍前を上回りそうな勢いで観光客が押し寄せている」
という。
島内では人気の飲食店やトイレに列ができているほか、対岸の宮島口で渋滞が深刻化するなど影響が徐々に深刻化してきた。
「このまま訪日客が増えたのでは、観光公害になりかねない」
と不安を口にする住民もいる。
水の都として有名なイタリアのヴェネツィアは来春から観光客抑制のため、日帰り客に5ユーロ(約812円)の入場料を試験的に導入する。宮島のような離島は観光公害が深刻化すれば、こうした抑制策を取ることが可能だが、京都市のように
「どこからでも自由に訪れることができる場所」
は制限が難しい。