デンソー「燃料ポンプ不具合」1245万台 問題の“深層”は結局どこにあるのか?
リコールの規模
2023年11月現在、全世界、全自動車会社合計の対象車は、トヨタ620万台、ホンダ433万台、ダイハツ137万台、マツダ29万台、スバル21万台など、各社合計で1245万台。トヨタが50車種と最も多い。
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リコール対策にかかる費用は明らかにされていないが、『日経クロステック』によると、デンソーは2021年3月期までに2900億円の引当金を準備したという。
一方、米国では、トヨタとデンソーに対する650万人からの集団訴訟が2022年12月に総額2億8700万ドルで和解に達し、修理時の部品代、工賃、レッカー代、代車代が15年間免除されることになった。
補修部品の追跡は困難
医療トリアージと同じように、車両の不具合もその影響の大きさによって優先順位が決められている。
燃料ポンプの不具合は、エンジン不調による事故、排ガス規制への不適合、エンジンストールによる走行不能などにつながるため、重大な不具合として認識されている。
品質を向上させるため、自動車会社は生産されたすべての部品にトレーサビリティ(製品がいつ、どこで、誰によって作られたかを追跡できること)を持たせており、部品と車両との関連付けを容易にした。
しかし、量産部品だけでなく、故障や寿命による交換部品として、一定期間「補修部品」を販売する義務がある。正規ディーラーではなく、一般の整備工場やガソリンスタンドで販売されたり、個人が自分で修理したりすると、製品の動きを追跡するのは難しい。
各社の2023年リコール届出書によると、車両が特定できない補修部品はホンダが3431個、トヨタが1408個、ダイハツが255個で、国内総台数268万台の
「0.02%」
にあたる。
フォルクスワーゲンがディーゼル車の排ガス不正問題で米規制当局と和解した条件のひとつが、「リコール率85%以上」だった。日本の一般的な回収率は80~90%といわれている。
なお、リコール通知を受けた後に発生した事故はユーザーの責任である。