ライドシェア反対派が主張する「タクシーは安全」は本当か
「情報の非対称性」の問題

このような問題は、モビリティに限らず、商品やサービスなどがやり取りされる場では必ず生まれる
「情報の非対称性」
の問題である。
情報が非対称のままだと、消費者は怖くて取引に参加できない。取引を活性化させるためには情報の非対称性を解消する“仕掛け”を用意する必要があるのだ。
タクシー会社もライドシェアも、このような情報の非対称性を解消する仕掛けであるといえる。タクシーのユーザーは、ドライバーが
・タクシー会社に所属していて管理されている
・犯罪を起こせばクビになる
ことなどがわかる。ライドシェアのユーザーは、システムに残されたレイティングや口コミから、そのドライバーが
・他のユーザーにどう評価されているのか
がわかる。そしてこれらの情報に基づいて、サービスを利用するかしないか判断ができるのだ。
品質保証を行う基準

このような情報の非対称性を解消する仕掛けは、品質を保証する機能も果たしている。タクシー型の品質保証は、景気や需給バランスの影響を受けずに、決められた基準にしたがって
「監視と強制」
による品質保証を行う。
一方、ライドシェア型の品質保証は
「相互評価と信頼」
による品質保証なので、保証される品質は相対的で流動的になりがちである。
タクシー型の品質保証は一定品質を保てる利点はあるが、このやり方はドライバーにとっては少し窮屈なのかもしれない。ライドシェア導入の議論は、こういった
「窮屈な環境に適応しない潜在的なドライバーの発掘」
を狙ったものでもあり、タクシー型の品質保証はドライバー不足時代にはなじまない可能性がある。
ライドシェア型の品質保証にも欠点がある。ドライバーが余っていれば、淘汰圧によって優良ドライバーだけが生き残っていく。しかし、ドライバーが不足していれば、少々質の悪いドライバーでも生き残れる余地が生まれてしまう。「ドライバー不足」という強敵の前では、いずれのやり方も完璧ではないのだ。