ヨーロッパの近郊車両に「2階建て」が多く使われている理由

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欧州の大都市近郊で使われる車両には、座席数の多い2階建て車両が多く用いられている。いったいなぜか。

欧州の自転車レジャー

オーストリアの近郊列車。低いホームに合わせて低床化されており、車内にはWi-Fiも装備している(画像:橋爪智之)
オーストリアの近郊列車。低いホームに合わせて低床化されており、車内にはWi-Fiも装備している(画像:橋爪智之)

 日本と欧州の鉄道で大きく異なる点として、車内への自転車持ち込みが認められている点が挙げられるが、その自転車積載においても進化をしている部分がある。

 今や世界的に普及した電動アシスト付き自転車だが、その充電用コンセントが自転車積載スペースに設置されている列車が増えてきた。サイクリングへ出掛ける道中、あるいは途中の移動中に充電、ということが可能になった。

 電気自動車の充電スタンドしかり、自宅以外の充電施設整備が普及のカギとなるが、自転車の充電は「列車内で移動中にどうぞ」というわけだ。

 日本では、サイクリングそのものが一部の愛好家だけのスポーツのように位置付けられているが、欧州の場合は家族で楽しむレジャーとして定着しており、遠方まで鉄道で輸送する人も珍しくない。

 当然、近郊列車にも自転車積載スペースが設けられ、さらに最近のニーズに合わせて電動自転車の充電設備が搭載されたというわけだ。日本で電動自転車というと、日常に使うママチャリのイメージが強いが、欧州ではレジャータイプにも普及してきているためだ。

 全体的に見て、最近の近郊列車は快適性やサービスなどに重点を置く傾向が見て取れる。環境問題に端を発した鉄道利用のさらなる促進へ向け、鉄道会社もあらゆる手段で利用客を取り込もうという姿勢が感じられる。

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