ドライバーにカスハラしてどうする 「優れたサービス = 当然」という大きな勘違い、そもそも他者に“期待しすぎ”な現代人とは

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交通事業者は「移動の対価」として料金を受け取っているため、利用者とはギブ・アンド・テークの関係にあるはずだ。しかし、利用者の過度な「期待」によって、クレームやカスハラに悩まされている。

社会のクレーム文化

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

 日本一態度の悪いレストランは、奇抜なアイデアで態度が悪いというクレームを封じ込めることに成功したが、一方で、日本社会はクレームやカスタマーハラスメントに満ちあふれている。

 特に、従業員と客のコミュニケーションが発生する宿泊、飲食、旅客などの業界では、これらが大きな問題になっている。カスハラはもちろんだが、正当なクレームであっても、自分や職場に対するネガティブな反応にさらされると、心は少なからずダメージを受けてしまうからだ。

 動物は本来、相手の攻撃に対して反撃か逃亡をするようにプログラムされている。しかし「客と従業員」という関係は従業員に反撃も逃亡も許さない。それどころか、攻撃してくる相手に対して誠心誠意対応することを求めてくる。

 動物としての一般的な反応が許されないと、感情と行動はコンフリクト(衝突)を起こす。求められる行動は変えられないので、感情を抑え付けるしかなくなってしまう。こういった状態が繰り返されると、働く人のメンタルヘルスは脅かされてしまう。

 日本では、客と従業員が主従関係のように解釈されることがあるが、ここにも問題があるのかもしれない。宿泊施設は設備利用の対価として、飲食店は食事や給仕の対価として、輸送機関は

「移動の対価」

として料金を受け取っているのであって、ギブ・アンド・テークの対等な関係のはずだ。ここで支払われる料金には、理不尽な客の攻撃に服従する対価は含まれていない。

 料金に含まれていなければ、給料にも含まれないので、サービス業に従事する人たちは、肉体や技術や知識による労働の対価はもらっていても、感情労働はタダでさせられていることになる。

 タダ働きで心の健康を害したらバカバカしいので、サービス業は人気がない。少子化で労働人口は少なくなり、働き方改革で労働時間が短くなっている現代で、人気がない業種では深刻な担い手不足が起きている。

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