ホンダ・GMによる「BEV共同開発中止」の衝撃 労使交渉にも取り残される、GMの危機とは
急変する状況
世界的な電気自動車(EV)シフトが進むなか、手を組んだホンダとゼネラルモーターズ(GM)を取り巻く状況は急変している。
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両社はEVの共同開発中止、GMの米国での無人タクシー営業許可の停止など、EV戦略の変更を余儀なくされている。
かつて“世界最大の自動車メーカー”といわれたGMの企業再生は道半ば。北米EV市場の動向から、今後の戦略のかじ取りを探る。
共同開発の衝撃的中止
ホンダとGMは2020年4月、バッテリー式電気自動車(BEV)の共同開発を発表した。GMのグローバルEVプラットホームとアルティウムバッテリーをベースに、ホンダ向けの新型EV2車種を共同開発することで合意した。その後、ホンダは2023年9月、北米向けEV量産モデル第1弾スポーツタイプ多目的車(SUV)「プロローグ」を2024年初頭に発売すると発表し、ジャパンモビリティショーに出品した。
それまで両社のEV共同開発は順調に進んでいると思われていただけに、ジャパンモビリティショー開幕直後に共同開発中止のニュースを聞いたとき、筆者(河崎賢二、自動車マーケター)は衝撃を受けた。
中止の理由についてホンダは、「中国メーカーの台頭などで量販価格帯のEV市場が急速に変化していることを受けて、事業性や商品性を総合的に判断した」としているが、2027年までに3万ドル(約450万円)以下の低価格EVシリーズを投入する計画だっただけに、これは大きな痛手だった。
追い打ちをかけるような悪材料は続き、ホンダとGMが東京で無人タクシー事業での協業を発表した2023年10月19日から数日もたたないうちに、GMの北米での無人タクシー事業が営業免許停止処分となり、ホンダは出ばなをくじかれた。
ホンダはソニーとBEVの共同開発を進めており、「アフィーラ」の先行受注は2025年後半を予定している。ソニー・ホンダモビリティは、最先端技術を搭載したフラッグシップカーを先行投入し、その後、普及価格帯のモデルにシフトしていく戦略を打ち出している。そのため、3万ドル以下のEVの投入は2020年代末頃と予想されるが、ホンダはソニーとの共同開発に注力しながら、EVラインアップの拡充を図っていくのだろう。
では、一方のGMはどのようなEV戦略を立てていくのか。