タクシー運転手を食い物にする「タクシー会社」 低賃金&人員不足はその結果に過ぎない そもそもメーター料金制度が時代遅れだ

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10月23日、岸田首相が臨時国会の所信表明演説でライドシェアに言及したことで、推進派、反対派双方の議論が白熱している。議論がどちらに落ち着くかは未知数だ。しかし決定的に議論から抜けていることがある。

あぐらをかく会社を淘汰

「既得権益」のイメージ(画像:写真AC)
「既得権益」のイメージ(画像:写真AC)

 ライドシェアの話題となると、「既得権益」というパワーワードが出てくる。

 意外と勘違いされやすいが、既得権益を持っているのはタクシードライバー(個人タクシーを除く)でなく

「タクシー会社」

だ。タクシードライバーの低賃金が取り上げられることもあるが、実はタクシー会社によるところも大きい。

「都市部のタクシー会社にとって、真のお客さま(カモ)はタクシードライバー」

と、ひそかにささやかれていたのはご存じだろうか。

 タクシー会社は、ありとあらゆる方法を駆使してドライバーの取り分をつまみ食いして、自らの利益を確保してきたのである。

・無秩序な台数拡大
・最低賃金でしか計算されない給料
・高額な制服の押し付け
・特定のガススタンド利用の強制
・タイヤやレシートのロール紙といった消耗品の自腹購入
・営業施策への協賛金の支出
・会社の懐が痛まない割引競争

など、数えあげればきりがない。

 ライドシェア推進の根拠となっているタクシードライバー不足は、

「ドライバーの代わりはいくらでもいる」

と、「既得権益」にあぐらをかいてドライバーの低賃金をよしとしてきたタクシー業界の“オウンゴール”ともいえよう。

 ライドシェアがもうかるならば、ドライバーの流動化や取り合いがはじまり、タクシードライバーにとっては選択肢が広がる可能性がある。また、ドライバーの待遇を改善できない旧態依然としたタクシー会社は淘汰(とうた)されるだろう。

 さらには、ライドシェアとすみ分けが進むことで、生活サポートあるいは観光案内のスペシャリスト集団など、タクシードライバーは“付加価値”の付いた職業に変わり得る可能性もある。

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