日本の貨物航空会社はなぜ失敗するのか? 佐川急便G「ギャラクシーエアラインズ」の記憶、モーダルシフト推進で再考する
モーダルシフト(自動車による貨物輸送を、環境負荷の少ない鉄道や船舶に転換すること)の流れにおいて、航空輸送の必要性はますます高まっている。にもかかわらず、過去においては、国内線で貨物専門をうたった航空会社は一様に失敗に終わっている。この背景には何があるのか。
高コスト構造の課題

結果、2006年度に14億円であった赤字は、2007年度には32億円に膨らんだ。2008年3月期の決算では、売上高64億円に対して30億円の赤字を計上し、企業は債務超過の状態に陥った。
この事態を受け、2008年7月には親会社であるSGホールディングスから送り込まれた社長が着任し、事業再建に向けた協議が行われた。しかし、その翌月に企業は突如として廃業を発表し、9月には全ての路線運行を停止した。廃業の背後には、SGホールディングスの上場準備との関連や、株主間のあつれきがうわさされていた。
さまざまな事情が絡み合っていたのは事実だが、いずれにしても、想定外の高コストが強いられるなかで、運行の継続は現実的に困難であっただろう。
このように、過去の貨物航空会社の例を振り返ると、売り上げにおいて
「高コスト構造を覆すことが困難」
だったことが明らかになる。航空機は貨物を速達輸送することには適した手段であった。しかし、
・貨物量の変動
・燃料費の乱高下
に耐えうる体制を整えることは、想像以上に困難だったのだ。