巨大な円筒形の帆「ローターセイル」に世界が注力 巨大船エコに 古くて新しい風力推進

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甲板に巨大な円筒を立て連ねた「ローターセイル」搭載船の検討が世界中で進んでいる。その多くは巨大な貨物船をエコにするため。もともと100年前に発明された技術だが、現代のローターセイルは軽量で、扱いやすさも考慮されている。

100年前に開発された技術に世界が注目

ローターセイルを搭載したケープサイズバルカーのイメージ図(画像:商船三井)。
ローターセイルを搭載したケープサイズバルカーのイメージ図(画像:商船三井)。

 甲板上に設置した円筒型のローターを回転させ、マグヌス効果によって推進力を得る風力推進補助装置「ローターセイル(円筒帆)」。ドイツの技術者アントンフレットナーが1920年代に発明した技術が、船舶の脱炭素化や燃費向上に向けた取り組みの一環として注目を集めている。

 フィンランドのノルスパワーや英アネモイ・マリン・テクノロジーズが手掛けたローターセイルはすでに実船への搭載が進められているほか、韓国造船大手の大宇造船海洋も独自に開発を行っている。

 日本では商船三井が2021年11月、ブラジル資源大手ヴァーレと既存の20万重量トン型(ケープサイズ)バルカーへのローターセイル搭載に向けた共同検討を行うことで合意したと発表。製鉄用原材料の鉄鉱石を海上輸送する際に排出されるGHG(温室効果ガス)を削減するためで、将来的には日本でもローターセイル付きの船を見られるかもしれない。設置するローターセイルの本数や、GHG削減効果の検討・検証については前出の英アネモイが協力する。

 アネモイのローターセイルシステムは、ローターセイル本体、基部、展開システム、風速センサー、電気・制御システムで構成されている。

 本体部分は主に、複合材料を使用した「ローター」、鉄骨柱状構造の「タワー」「上下のベアリング」「電気駆動装置」の4つからなり、軽量な素材を採用することで重さを船体重量の0.1%以下に抑えた。各国の船級協会の要件に沿った最も厳しい気象条件に耐えるように設計されており、荒天時でも35m/s(70ノット)までの風速の中でも稼働できる。

 運航中におけるローターセイルの速度と方向の制御や機器類の状態監視、安全を確保するための緊急停止といった対応は、乗組員の負担を最小限にするため、ブリッジに設置されたコントロールステーションにより自動で行う。