80歳の「個人タクシー運転手」容認 どう見ても危険すぎるので、現役運転手に聞いてみた

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9月15日、国土交通省は過疎地での個人タクシーの営業を認め、個人タクシードライバーの年齢上限を80歳に引き上げる新たな方針を発表した。実際に高齢者が起こした事故の特徴を踏まえながら、このテーマの是非について考えてみたい。

世間の声と今後の展望

高齢者でも働かなければならない現状がよくないのか(画像:写真AC)
高齢者でも働かなければならない現状がよくないのか(画像:写真AC)

 今回の発表に対し、インターネット上ではさまざまな声が上がっている。その多くは高齢者の運転技術に懸念を抱いており、免許返納を奨励する現在の流れに逆行しているなどのものが多く、具体的には

「高齢ドライバーによる事故が問題となって個人タクシーの年齢が開業時期によって無制限から75歳定年に変更されたのに、場当たり的な対応のために意図的に逆行させる必要性がどこまであるの?」

「正直、技能に問題なくても高齢者ドライバーが運転するタクシーには乗りたくない。高齢者に免許返納を促してるのに矛盾してるし…。高齢ドライバーが起こした悲惨な事故を思い出して欲しい。人手不足だからって、何でもアリにするのはおかしくないですか?」
などの声が上がっていた。そんななかで、

「高齢ドライバーが“悪”というわけではなく、“ドライバー不足問題”を労働者の年齢引き上げで何とかしようとする日本がヤバいと思う」

「少子高齢化を見越しての施策なのか、それとも高齢者の経済的な問題を解消するための施策なのか…。いずれにせよ、“高齢者が働かなきゃいけない”という状況をなんとかするべき」

「年齢を上げるより、働きやすい環境や、高齢者が大変な思いをしないで済む方法は他にないものかと思う」

など、高齢者であっても働かなければならない現状に疑問を持つ人は多い。

 慢性的なタクシードライバー不足は、資格がなければ働けないことや、タクシーという特殊な労働環境の問題からきていると考えられる。人材不足は、短絡的に年齢上限を引き上げることで解消できるものではない、本当に必要なのは、国やタクシー会社がドライバーの労働環境や待遇を改善し、タクシードライバーを増やすことだ。

 事故を防ぎ、消費者が安心してタクシーを利用できるようにするためには、高齢者が働かざるを得ない環境をなくすことが何よりも重要だ。国やタクシー会社が現在の労働環境を改善し、タクシードライバーの仕事を魅力あるものにするための施策や議論を進めることが望まれる。

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