EV先進国スウェーデンが、世界初の「大規模ガソリン車走行禁止」に踏み切った理由
スウェーデンの首都・ストックホルム市のラース・ストロムグレン交通担当副市長は、2025年から市中心部でのガソリン車とディーゼル車の乗り入れを禁止する計画を発表した。
スウェーデンのEV政策の成否
スウェーデンがEV先進国の「お手本」になれるかどうかは、
・今後にどのような政策を打ち出すか
・各種政策が、EV販売にどのような効果をもたらすか
という観点から、さまざまな政策が成功するかどうかが重要な要素となるだろう。
ノルウェーに次ぐEV販売比率を維持するスウェーデンにとって、自動車保有台数に占めるEVの比率を高め続けるためには、今後もEV購入補助金を拠出し続ける必要がある。2023年7月、補助金は5万クローナ(約67万円)に引き下げられたが、スウェーデン政府の財政負担増が懸念される。
また、英国のように厳しい規制を設けたとしても、自動車メーカーがそれに従わなければ、文字通り「笛吹けど踊らず」に陥りがちであり、厳しい規制の導入には慎重にならざるを得ない。
非EVを締め出す規制を厳格に適用すれば、自然にEVが増えるかといえば、そう簡単ではないことは自明である。EVシフトの流れをうまくつかみ、その上でガソリン車を締め出す規制をかけることで、EV需要を引き出す巧みな政策プランが求められる。
今回、ストックホルム副市長が発表した計画は、首都圏に限定されたもので、今後のスウェーデンにおけるEVの普及状況によっては、対象地域が徐々に拡大されることが予想される。
この試みがベストプラクティスとなり、ほかの都市部でも同じようにEVが普及すれば、そこに住む人たちにとって「今よりもおいしい空気」を吸えるクリーンな環境が生まれる。これは究極のミッションが果たされることになるだろう。