高齢ドライバーの免許更新時、テストで「記憶力」を検査するようになったワケ
2022年5月から高齢者の運転免許更新制度が変わり、75歳以上の高齢運転者は運転免許更新時の「認知機能検査」が一部省略された。
暦の認識や記憶力を検査する理由

認知機能検査における国会答弁の一部を抜粋する。
2007年の国会質疑で、
「認知機能検査についてですけれども、アルツハイマーについては対応できる(中略)他種の認知症に対応できるような内容になっているんでしょうか」
との懸念が示された。当時の警察庁交通局長の矢代隆義氏は、
「アルツハイマー型認知症だけでなく(中略)汎用(はんよう)性があるということでこれを使おうとしているわけでございます」
と答弁した。
アルツハイマー型認知症は、政府広報によれば「もの忘れから始まることが多い」認知症で、厚生労働省によれば認知症患者の約6割に相当するという。
例えば、アルツハイマー病の人が車で買い物に行ったとする。記憶障害があれば、「買い物に行く」という目的を忘れ、道に迷って運転してしまう。
また、同省が公表している軽度認知障害に関する説明資料には、「軽度の記憶の低下が多くみられる」と記載されており、記憶力が認知機能を評価する重要な指標であることが推察される。
例えば、食事の場面で食べたものの一部。おかずの中身を忘れるなどは物忘れである。しかし、食べた記憶を忘れるのは、病的な記憶喪失が疑われる。
認知機能が低下すれば安全運転にも疑問があり、加齢にともなう認知機能の検査は避けて通れない。一方、「認知症と一括に括(くく)られると記憶や見当識が低下しても安全に運転技能を持つ人がいる」と医学会は示唆している。
なお、この検査は認知機能低下の可能性を確認する簡易的な方法であり、医師の診断に代わるものではないことに留意する必要がある。
事故や高齢ドライバーの権利保護は非常に難しい問題だが、日本の基幹産業である農業の7割を支えているのは65歳以上の高齢者である。