中古車販売、自動車ディーラー、ガソリンスタンド 地方の「自動車ビジネス」を待ち構える、約50年後「人口3割減」という逃れられぬ現実
将来の経済構造の不確実性
一方、中古車ディーラーについては個人もしくは小資本の中小店から資本力に優れた大手に集約される傾向が強かったが、近年のビッグモーター問題を見るまでもなく、少子高齢化とは別の理由で勢力図が大きく変わる可能性も出てきている。
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「この先5年」
が将来的な動向見極めのポイントとなるだろう。
国内のガソリンスタンドの総数については自体はもっと深刻であり、バブル崩壊直後の1994(平成6)年の約6万店をピークに、設備更新を義務づけた法改正や地域での価格競争などの条件が重なった結果、2022年には
「約2万6000店」(57%減)
へと減少しているのが実情である。これは少子高齢化とはまた別の問題が減少の主な理由だったにせよ、未来を予想する上での重要な指針となるだろう。
自動車整備業者やカーショップなどの用品販売業もまた、地域密着の性格が強いことを考えると、少子高齢化にともなう人口減少とともにその存続が危うくなることは十分に予想できる。
おそらくはいずれも大幅に集約化の上で、地方都市に数件という状況に陥ることだろう。もしかしたら、自動車の整備や修理などは、メーカーが一元管理した上で中央の工場で請け負うといったスタイルに変化するかもしれない。
50年後に8700万人、100年後には5000万人を下回るという人口予想に対して、地方に立脚した自動車関連産業の生き残り策を考えると、その未来像に明るい展望はほとんど見いだせない。
ただしそれは現在の経済構造を前提としているからであって、今後100年以内の間に日本の社会および経済構造が少子高齢化と人口半減に対応したものとなるのであれば、それはまた別の話である。
重要なことは、そうした社会構造の変化がマイルドな間に、100年後の人口半減に即した国家戦略を今のうちにしっかりと構築しておくことである。正直なところ、筆者(矢吹明紀、フリーランスモータージャーナリスト)には100年後の日本がどんな産業構造に立脚した国家となっているか全く想像できない。
日本の基幹産業である自動車産業は、このような環境下で生き残ることができるのだろうか。不確定要素が多すぎるが、それを克服することが次の100年の展望を切り開く唯一の方法である。