中古車販売、自動車ディーラー、ガソリンスタンド 地方の「自動車ビジネス」を待ち構える、約50年後「人口3割減」という逃れられぬ現実
少子高齢化への販売構造対応
ここからはもう少し詳細に、近年の少子高齢化時代における地方の自動車ディーラーやガソリンスタンドの動向を追ってみよう。
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まず新車を販売する自動車ディーラーだが、ここ15年スパンでの全国に展開している店舗数はおおむね
「2万店」
前後で推移している。増減については年ごとに減少も増加も見られるがおおむね1%台の数字で大きな動きではない。これは国内人口が減少傾向とはいえ、それほど劇的な変化ではないことを考えれば当然だ。
それでは自動車販売台数自体はどうなのか。日本自動車工業会のデータによれば、2022年の新車販売台数は420万1320台だった。この数字は、500万台を超えていた2019年までに対して大幅な減少となった。
これは少子高齢化というよりは、コロナ禍やウクライナ紛争など、新車生産の遅延に直接関わる事件が理由だった。2023年は各メーカーともに生産販売ともに回復しつつあるとのリリースが出されており、おそらく最終的には大幅な改善が見込めるだろう。
ただし新車販売ディーラーの経営については、収益性の悪い店舗の扱いが問題となって久しい。日本の新車ディーラーは大手メーカーの看板を掲げていてもその経営母体を見ると9割以上が
「地元資本」
である。すなわち、その土地に根付いたビジネスを長年にわたって築き上げてきたということである。それが地方人口の大幅減少に直面した場合どうなるのか。人口減少の加速とともに、会社の存亡に関わるより深刻な問題としてクローズアップされることが推測できる。
近年の話ではないが、バブル期に販売チャンネルを拡大しすぎたメーカーの多くが、収益性の悪化から販売チャンネルを再編成した。あるいは、販売モデルをチャンネルごとに縛ることをやめ、同じモデルをすべてのチャンネルで販売する体制に転換した。
日産やホンダが2005(平成17)年から2006年に掛けて実施したことなどは、まさにその典型である。こうした過去にも見られた
「ディーラー再編」
が、少子高齢化を理由に新たに加速していくことは想定の範囲内である。
ホンダは2021年からインターネットを通じた新車のオンライン通販を開始しているが、これもまた少子高齢化を前提に販売構造の再編を目的とした新たな施策である。今後、新車販売ディーラーは人口の推移に合わせて漸減していくことは避けられないだろう。