観光は今こそ「平和産業」という原点に立ち返るべきだ コロナ&ウクライナ戦争で改めて痛感した思いとは【リレー連載】平和産業としての令和観光論(1)
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コロナ禍や世界各地の戦争を乗り越え、観光が平和と国際協力に与える影響を探るリレー連載。異文化理解や対話の促進を通じて、観光は「平和産業」としてどのような役割を果たすべきかを検証する。
観光立国の原点

日本における観光立国論は、意外と歴史があり、その原点はパナソニックホールディングスを一代で築き上げた松下幸之助(1894~1989年)にあるといわれている。
松下幸之助が提起した観光立国論のなかに、
「観光は最も大きな平和方策である」
という考え方がある。日本の景色や文化を博愛の精神を持って広く開放することで、中立性が高められるという。
この考え方は、平和だから観光ができるという受動的な観光ではなく、
「観光により平和がもたらされる」
という“能動的な観光”といえよう。
国際連合が、1967(昭和42)年を国際観光年に指定したときは、もう一歩踏み込んで
「観光は平和へのパスポート」
というスローガンを掲げている。観光は、異文化・文明への共感、評価が民族間の相互理解を促進し、平和の構築に資する能動的な平和産業だという。これこそが、観光立国の原点ではないだろうか。
「観光は平和へのパスポート」という考え方からすると、現状の観光はただ消費するだけで、相互理解という心の部分が忘れさられている。
相互理解という観光の神髄を発揮するならば、処理水問題に端を発した風評被害に苦しんでいる福島県太平洋岸地域も観光地となり得る。相互交流を通じて日本国内はもちろん周辺各国の誤解を解くという、これほど平和的な解決策はない。