神戸市人口が150万人割れ 原因は本当に「震災」だけなのか? 衰退するニュータウン、貧弱な子育て施策、そもそも危うかった都市経営モデル

キーワード :
, ,
10月12日、神戸市は2001(平成13)年以来22年ぶりに人口が150万人を下回ったと発表した。根本原因は何か。

北区・西区のニュータウンの凋落

神戸市北区のニュータウン(画像:国土地理院)
神戸市北区のニュータウン(画像:国土地理院)

 経済状況とともに神戸市の人口減を加速させているのは、

「街の魅力の低下」

である。低迷する神戸市で人口減が特に著しいのは、北区や西区のニュータウンで、一般にイメージされる“港町”とは無関係なエリアである。

 かつての神戸市は著しく成長しており、関西の“住みたい街”としての上位に位置し「神戸ブランド」を確立していた。その時期、神戸に住みたいと流入する人口を吸収する主要な場所が人工島と山間部のニュータウンだった。

 このニュータウンが敬遠されているのが、神戸市の人口減の主要因である。実際、北区・西区のニュータウンでは人口が2015年の約51万5000人から5年間で2万9000人(5.6%)減少している。

 一方、それ以外の地域では人口が約1万7000人増加している。ニュータウン入居者の子ども世代の多くは、

・利便性の高い神戸市内の中心部に住むか
・神戸市から出ていくか

の2択である。この結果、ニュータウンに住むという選択肢は考慮されにくくなっているのである。

 なぜ、神戸市のニュータウンはここまで避けられるようになってしまったのか。関西在住の新聞記者に話を聞くと、こんなことを教えてくれた。

「かつては、京都で学び、大阪で働き、神戸に住むことが夢とされていた時代がありました。しかし今は、大阪のマンションに住むことが憧れになっています」

さらに、時代の変化であらわになった神戸のニュータウンの構造的な欠陥も指摘する。

「共働きが当たり前になった今、子どもを保育園に預けて大阪に通勤する夫婦は、神戸市のニュータウンには住まないでしょう。専業主婦を前提とした神戸市のニュータウンは、完全に時代遅れなのです」

全てのコメントを見る