EVに「エンジン音」は絶対必要? “静けさvs高揚感”の終わりなき戦い、各メーカー開発中のいま考える
EV普及が急速に進んでいる現代において、エンジン音の再現技術が新たなトピックとして浮上している。いったいなぜか。
EVの静粛性と周囲への影響
電気自動車(EV)の普及が急速に進んでいる現代において、エンジン音の再現技術が新たなトピックとして浮上している。なぜなら、EVは静粛性(走行中に車両から発生する騒音や振動を抑え、静かで快適さを表す度合い)が高いという特徴を持っている一方で周囲の歩行者が気づきにくいという問題が浮上しているからだ。
そのため国土交通省は2016年、国内で販売するEVを対象に、車両接近警報機能の装着を義務付けた。この機能は、EVが低速で走行する際に周囲に音を発することで、歩行者にEVの接近を知らせるものだ。一般的には、車両が
「時速20km未満」
で走行する場合にこのアラームが作動し、歩行者へ自車の存在を知らせるものである。
ところが、交通安全環境研究所(東京都調布市)の報告によると、「車両の接近に気が付かず、危険に感じたことがある、驚いたことがある、または接触したことがある」という人を対象にアンケートを実施したところ、その原因の約8割が
「その車がハイブリッド車やEV等であり、その車が静かすぎて気が付かなかったため」
と回答。
加えてアラーム音そのものに対して、不快に感じるという声も。その影響もあってか、近年静粛性を売りにしているEVに“音”を加えようとしている動きがある。それは一体なぜだろうか。