トラック自動運転 カギを握る車両メーカー UDトラックスに聞く【短期連載】自動運転が運送業にもたらす未来(2)
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自動運転の社会実装 単なる“車両メーカー”ではなくなる?
2019年の東京モーターショーのステージにおいて、栗橋氏が司会進行を務めたトークセッションに登壇したローランド・ベルガーの小野塚征志氏は、自動運転を論じる文脈の中で、興味深い発言をしている。
「UDトラックスは、単にトラックを作るのではなく、トラック輸送、ひいては物流におけるイノベーターであり、プラットフォーマーになれると思う」
自動運転・無人運転が実現した社会では、クルマが交通事故を起こせば、自動車メーカーの責任を問われる可能性と機会が格段に増すであろう。だが、責任が増すということは、同時にビジネスにおける貢献度や影響力が増すことにもなる。
「** as a Service」という言葉がある。例えば、「Software as a Service」(SaaS)と言えば、主にクラウド上で提供されるソフトウェアをユーザーに提供するサービスであり、「Mobility as a Service」(MaaS)と言えば、複数の交通機関を一つのサービスとして提供する概念を指す。
自動運転・無人運転が実現すれば、「Truck as a Service」が実現するかもしれない。トラックメーカーは、プラットフォーマーとして、運送会社にトラックを提供し、運送会社は利用頻度、例えば輸送トンキロ(貨物の重量〈トン〉に輸送距離を乗じた値)に応じてトラックメーカーに従量課金制料金を払うビジネスモデルが生まれるかもしれない。
現在のトラックに比べ、無人運転・自動運転トラックがどれほど割高になるかは分からない。だが、資本力に乏しい中小企業が99%以上を占める運送会社の現状を診れば、高額な自動運転トラックをリースで利用するよりも、こういったサブスクモデルの方が経営改善に寄与するかもしれない。
もっと言えば、トラック版ウーバーイーツのような働き方も実現するかもしれない。自動運転だから、当人はトラックを運転する必要がない。トラックに乗せられて移動し、荷物の積み卸しだけ行うのだ。
自動運転や無人運転について、現役のトラックドライバーらと話をすると、必ず「じゃあ、俺たちは不要になりますね…」という発言が飛び出す。だが、不要になるのは、ドライバーだけではなく、運送会社そのものとなる可能性すらある。
最終話となる次回では、自動運転・無人運転が、トラックドライバー、運送会社に与える変化を考えよう。