EV普及の超難敵「充電インフラ問題」を解決できる? 国内初公道“走行中給電”実証実験に見る、日本企業の可能性とは
走行中給電が切り札になる可能性
日本でも、ワイヤレス給電システム市場に参入する企業が増えている。
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新電元工業(東京都千代田区)は、前述のワイトリシティと非接触電力伝送技術のライセンス契約を締結し、2025年の実用化を目指して自動車メーカーと実証実験を進めている。同技術は、駐車場などに設置した送電ユニットから、地上に設置した送電コイルを介して車両の受電コイルに電力を伝送するものだ。
ダイヘン(大阪市淀川区)は2023年3月、機械式駐車場での自動ワイヤレス充電の運用実証を開始し、10月末までに完了する予定だ。さらに、同社が開発した走行中充電システムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「グリーンイノベーション基金事業」の一環として、2025年に開催される大阪・関西万博の海上アクセスバスや会場循環バスの充電システムに導入される予定だ。
日本はEV後進国といわれているが、先日、豊田章男氏が委員長を務める経団連「自動車などモビリティー(乗り物)産業に関する委員会」で、米国や中国メーカーが先行するEVについて「日本は技術力では決して遅れていない」と述べ、蓄電池のような研究開発に強みを持つ日本企業なら、事態を好転させることができると自信を示した。
その一環として、走行中給電は重要な研究開発テーマとなるが、日本からの参入企業が実証実験開始を機に、世界をリードする気概を持って取り組めば、海外の有力企業を上回る日が来るもしれない。
日本では交差点に信号機が多く設置されているため、信号待ちでのワイヤレス給電が実現すれば、日本の交通事情にマッチしたソリューションとなる。EV充電器の設置が難しいといわれる集合住宅での充電インフラ問題も一気に解決するだろう。
今後の官民一体となった研究開発の積み重ねにより、走行中給電システム分野で世界一の座を獲得できるよう、さらなる研究開発の強化が求められる。