「代官山 = 衰退している」は間違い! 歴史をたどって初めてわかる、代替不可な真の価値とは

キーワード :
, ,
最近、この代官山かいわいに変化の兆しが見え始めている。かつての勢いは失われ、駅周辺には空きテナントが増えた。SNS上では代官山の「衰退」がささやかれるようになってきた。代官山は本当に衰退しているのか。

「衰退」という表現の誤り

代官山の街並み(画像:写真AC)
代官山の街並み(画像:写真AC)

 再開発の多くは、かつての街並みが完全に失われ、ゼロベースで開発が進められる。都内各地の再開発プロジェクトを見ても、かつての街の姿を想像することすら難しいケースが多い。

 しかし代官山では、その第1歩としてヒルサイドテラスに倣って古きを生かして、新陳代謝を図る再開発が実現してきた。

 再開発の結果、代官山は流行の発信地となった。しかし、これは住民やデベロッパーの狙いではなく、偶然の産物である。

 したがって、冒頭の

「代官山が衰退している」

という見方は正しくない。

 代官山は人気がなくなってさびれたのではない。一時的な流行に浮き沈みする店が消え、新しい街に生まれ変わろうとしている最中なのだ。代官山は再び流行の発信地になるのか、それとも閑静な住宅街としてさらに成熟していくのか――。

 ヒルサイドテラスの半世紀を記念する2019年のシンポジウムで、槇はこう語っている。

「施主と我々の間に街を育てる意識があって、それが周囲に広がりコミュニティーが生まれた」

代官山が今後どのように発展していくのか、注目したい。

全てのコメントを見る