「送料無料表示は変えない」 新経済連盟の意見表明を物流ジャーナリストの私が一笑に付すワケ

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「送料無料表示の撤廃を求める物流業界からの要請を、EC/通販業界が拒否したらしい」──実はこれ、一部誤解があるのだが、それにしてもばかげた話だ。下手をすればEC/通販ビジネスは自爆しかねない。

送料無料と店着価格制

新経済連盟のウェブサイト(画像:新経済連盟)
新経済連盟のウェブサイト(画像:新経済連盟)

 EC/通販ビジネスにおける送料無料表示は、古くからの日本の商慣習である店着価格制の延長上にある。

 店着価格制とは、製品、商品、あるいは原材料や部材などの販売対象物の価格に、物流費用を含めて提示する価格決定方式を指す。

 例えば、ビールメーカーが一箱24本のビールを4000円でスーパーマーケットに対し卸したとする。この4000円には、ビールそのものの価格とは別に物流費が含まれているが、このことをスーパーマーケット側が意識することは、店着価格制のもとでは難しい。

 店着価格制は、BtoC(あるいはBtoBtoC)のビジネスのみならず、BtoBの取引においても日本では広く行われてきた。だが、ここに来て店着価格制の課題が問題視されるようになってきたのだ。

店着価格制の課題

企業向けサービス価格指数(画像:経済産業省)
企業向けサービス価格指数(画像:経済産業省)

 店着価格制は、大きくふたつの課題を抱えている。ひとつは、物流改善へのインセンティブが働きにくいことだ。

 例えば、トヨタ自動車が生み出したジャストインタイムという生産管理手法がある。これは、「必要ものを、必要なときに、必要な分だけ」調達する仕組みで、確かにメーカー側の在庫抑制には効果的に働く方法なのだが、納入頻度が増え、物流事業者への負担になるという側面がある。

 ジャストインタイムでは、例えば総量10tの部品などを複数回に分けて納品することを要求される。対象となる部品が店着価格制であれば、調達側(部品を購入する側)は、1回でまとめて納品しても、複数回納品させても、負担する物流コストは変わらない。

 だが、部品価格と物流費が別建てになっていれば、調達側も「複数回に分けて納品させると、物流コストがその都度増えてしまう」と考え、

「物流コスト削減(= 物流効率化)」

への取り組みにつながるはずだ。

 店着価格制が抱えるもうひとつの課題は、物流コスト、とりわけ運賃の上昇に対応しにくいことだ。経済産業省によれば、2015~2017年頃から比べると、一般貨物配送の運賃は約10%アップ、宅配便の運賃は約25%アップしている。

 店着価格制の場合、こういった運賃の上昇(運送コストの上昇)は、製品価格に反映させるしかない。だが、それがBtoC向けであれ、BtoB向けであれ、製品価格の値上げはそうたやすいものではない(例外はある)。そのため、メーカーや小売り、卸などの荷主のなかには、輸送費を含む物流コストの上昇を、自社の利益を食いつぶすことで、価格の据え置きを行ってきたケースもあった。

 これに限界を感じた荷主のなかには、製品価格と物流コストを別建てで設定する、すなわち店着価格制を廃止するところも、数年前から現れている。特に、製品の輸送を宅配便や路線便に依存している荷主では、店着価格制を廃止し、送料を製品価格とは別で設定しているところも増えてきた。

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