千葉県「ユーカリが丘」という名の希望 住みたい街ランキング「137位」も、若い移住者が増え続ける納得理由

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開発から半世紀を超えてもなお、新たな住民を引き寄せているエリアがある。千葉県の北部に位置する佐倉市にあるユーカリが丘である。

今なお人の集まるニュータウン

ユーカリが丘線(画像:写真AC)
ユーカリが丘線(画像:写真AC)

 少子化が進むなか、都心のタワーマンションは増え続け、郊外では新しいニュータウンが誕生している。多くの場合、これらのエリアは「住みたい街ランキング」の上位に名を連ねている。だが、30年後もにぎわっているかどうかは疑問だ。なにせ、1970年代のニュータウンは高齢化が目立ち、多くのマンションは老朽化が進行中である。開発は一時のブームを生むが、街を持続させるのは難しい。そうしたなか、開発から半世紀を超えてもなお、新たな住民を引き寄せているエリアがある。千葉県の北部に位置する佐倉市にあるユーカリが丘である。ちなみに「SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版」(リクルート)では、137位である。

 ユーカリが丘を開発したのは、中堅デベロッパーの山万(東京都中央区)である。開発後も一貫して山万の都市経営が継続されており、モビリティファンには同社が運営するユーカリが丘線のある場所としても知られている。

 1976(昭和51)年の開発事業書には、ユーカリが丘の街づくりにおける核心的な思想が記されている。同事業書において、山万はユーカリが丘計画の意義を次のように述べている。

「この『住宅都市』に対して安全・健康、かつ、快適で豊かな生活ができる都市環境の創出、計画区域内外の地形、接続地域とのコミュニティ、快適な住環境と公害問題、そして秩序ある地域社会という諸問題をいかに調和させるかにその意義がある」

 多くのニュータウンでは、30代から40代が住宅購入の中心層であり、この年齢層を中心に街が作られている。しかし、1970年代に開発されたニュータウンの多くでは、子どもたちが家を出たあと、新しい住民の流入は止まり、地域は高齢化している。一般的に、新しい世代が既存の住宅を引き継ぐことは少ない。

 多くのデベロッパーはそれを承知で分譲物件を販売している。開発分譲が完了するまでがビジネスモデル(分譲撤退型)だからだ。ようは、売っておしまい。言葉は悪いが、

「あとは野となれ山となれ」

なのだ。

 しかし、前述の開発事業資料にあるように、山万はそうしなかった。結果、ユーカリが丘はニュータウンにありがちな高齢者ばかりが目立つ街にはなっていない。同エリアの子ども(0~9歳)人口は2011(平成23)年の1298人から、2020年には

「1808人」(39%増)

となっており、新住民の年齢層も30代である。2016年にイオンタウンユーカリが丘がオープンしたことも、街の成長性を示している。

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