「ETC2.0」普及せず 利用率はETCの「3分の1」以下という現実、いったいなぜ?

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「ETC2.0」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。“2.0”は知らないが高速道路を利用する上でETCを使っている人は多いだろう。

一般ドライバーに響かないワケ

ETC2.0利用者の約9割は、車やナビの購入に合わせてETC2.0を購入(画像:道路交通情報通信システムセンター)
ETC2.0利用者の約9割は、車やナビの購入に合わせてETC2.0を購入(画像:道路交通情報通信システムセンター)

 そもそも一般的にETC2.0の認知が低いことが挙げられる。たとえ名前を聞いたことがあっても、メリットや従来のETCとの違いを説明できる人は多くないだろう。筆者(熊谷透、フリーライター)自身、高速道路をよく利用するが、メリットについてはあまり耳にしたことがなかった。

 そんななか、運送業などの事業者にとっては、先に述べたETCコーポレートカードの割引や大型車両等の通行許可申請の簡略化などの恩恵で、ETC2.0を装着することはもはや必須に近いレベルになっている。実際、普及率の底上げをしているのはトラックなどの事業用車両だ。

 一方、一般ドライバーにしてみれば運転情報の支援や圏央道での割引など装着するメリットはあるものの、本体費用や交換工賃などを考えると、急いで従来のETCから切り替える必要があるのか考えてしまう。実際に利用者の約9割は、

「車やナビの購入に合わせてETC2.0を購入している」(道路交通情報通信システムセンターのウェブサイト)

という調査結果もある。

 また圏央道を使う機会がほとんどない人にとっては、料金割引についても魅力的だとはいえない。さらに各道路交通情報の提供についても、スマートフォンなどで代替できる部分も多いため、ETC2.0の機能が全ドライバーにとって必要不可欠というわけではない。

 しかし、今後は2030年にセキュリティー切り替えの問題で、使えなくなるETC車載器が出てくる可能性がある。そういった問題も待ち構えていることから、より一層ETC買い替えのタイミングは大事になってくるかもしれない。

 そんなETC2.0だが、今後どのような形で広がりを見せていくのだろうか。

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