燃料電池車は本当に日本で浸透するのか? デンマークでは「水素ステーション」がすでに閉鎖という、辛らつ現実

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東名高速道路の足柄サービスエリア(下り線)に、日本の高速道路で初めての水素ステーションがオープンした。EV化の流れから大きく遅れている日本で、FCVの普及は本当に進むのか。

世界のFCV市場では販売が減少傾向

MIRAI(画像:トヨタ自動車)
MIRAI(画像:トヨタ自動車)

 FCVといえばトヨタMIRAIのイメージが強いが、公道を走った世界初のFCVは、1966年に製造されたGMエレクトロバンである。極低温タンクに充填された液体水素と液体酸素を使用。満タンでの航続距離は240km、最高速度は時速110kmだったが、普及には至らず開発は中止された。

 それから半世紀以上が経過し、エネルギー専門の市場調査会社SNEリサーチによると、2023年1月から7月までの間に各国で登録されたFCVは9619台で、前年同期比9.6%減であった。水素ステーションの不足、水素充電コストの上昇、車種の選択肢の狭さなどが市場成長の妨げとなっている。

 FCVの世界シェアトップはヒョンデのネッソで、シェアは40%近くに達し、MIRAIが猛追し、シェア差を8ポイントに縮めている。

 再び国内市場に話を戻すと、商用車を中心にFCVの普及が現実味を帯びてきている。そこで重要な役割を担っているのが、大手自動車会社が参画する商用車の技術開発会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)」だ。

 CJPTは2023年5月、アサヒグループ、西濃運輸、ネクスト・ロジスティクス・ジャパン(NLJ)、ヤマト運輸の4社とFC大型トラックの実証運行を開始し、2022年8月に除名された日野自動車がCJPTに復帰することが発表されたばかりだ。FCV普及の動きは今後ますます加速しそうだ。

 日本でバッテリー式電気自動車(BEV)が普及しないことへの懸念は

・充電設備の不足
・集合住宅での充電設備の普及

などが挙げられる。充電インフラの不足を懸念する声もあるが、官民一体となってこうした懸念を払拭(ふっしょく)し、FCVの水素利用で世界をリードするポジションを確保すべきである。

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