中国人観光客「処理水問題」で激減も、結局最後は復活するワケ 両国の歴史が語る「経済交流は別」という賢明姿勢
中国人の大移動が始まった

中国が8月に日本への団体旅行を解禁したことで、インバウンド需要の拡大が期待された。しかし、回復の動きは鈍い。東京電力福島第一原子力発電所の処理水問題などによる日中関係の悪化が、訪日中国人の足かせとなっている。
9月末の国慶節(建国記念日)など大型連休の開始を控え、中国国内では旅行のための大移動が始まっている。しかし、現状は日本以外の旅行先に向かっている。今後のインバウンド需要拡大に不可欠な訪日中国人を回復させるためにはどうすればいいのか。
中国では、9月29日から10月6日までが中秋節・国慶節の連休期間となる。7連休だった2023年の春節(旧正月)よりも長い8連休となる。中国最大の旅行サイト・携程旅行(Ctrip)が9月13日に発表した「中秋節・国慶節観光予測報告」によると、コロナ後の旅行需要は増加する見込みで、連休期間中の国内旅行商品の予約数は前年比
「4倍増」
となった。
報告によると、国内旅行に限っては、利用者の73%が省外への旅行を計画している。中国鉄道当局は、2023年の連休中に1億9000万人、少なくとも1日平均1600万人が鉄道を利用すると予測している。この数字は春節の約2倍にあたる。
絶え間ない旅行需要に対応するため、さまざまな対策も実施されている。例えば、桂林などの有名観光地を抱える広西チワン族自治区の鉄道局は、初めて夜行高鉄(新幹線)の導入を決め、話題になっている。
コロナ対策による海外渡航制限によって、中国では一種の国内旅行ブームが起きている。このブームは現在も続いており、海外旅行よりも、国内のまだ行ったことのない地域を好む旅行需要は依然として大きい。
ただ、それでも海外旅行需要の復活は著しく、Ctripの調べでは、海外旅行商品の予約数は
「前年度比20倍」
となっている。