JR東日本が強力ライバルであるはずの「航空会社」とタッグを組む切実事情

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東京~秋田間などで、新幹線と航空会社は競合する。それでもJR東日本はANAと手を組む選択に踏み切った。いったいなぜか。

JR各社に期待すること

ANAの航空機。搭乗時間の短さは大きな利点@鹿児島空港(画像:大塚良治)
ANAの航空機。搭乗時間の短さは大きな利点@鹿児島空港(画像:大塚良治)

 2022年6月13日、JR東日本、JR東海、東京地下鉄(東京メトロ)、ANA、JALは、「ただいま東京」と銘打ったキャンペーンを発表した。

 JR東日本・JR東海と航空会社が手を組んだのは、コロナ禍で減少した旅客需要喚起を図りたい意図があったからだ。前例のないコロナ禍という危機が、ライバル同士を結び付けたといえる。

 結局、JRと航空は、状況に応じて競合関係にもなるし、補完関係にもなる。日本の観光振興を図るためには、交通モードの垣根を越えた連携は当然重要である。コロナ禍という未曽有の危機が交通各社の連携の重要性を浮かび上がらせた面もある。

 ただし、鉄道という視点で見れば、JR各社がさらなる連携に向けて取り組む余地は大きい。JR各社の観光振興に向けた連携としては、DCの実施や「青春18きっぷ」「ジャパン・レール・パス」などの企画乗車券の発売などが挙げられる。ほかにも、JR東日本・JR東海・JR西日本は北陸の観光振興において“Japanese Beauty Hokuriku”キャンペーンで連携している。

 JR各社には、可能な限り連携範囲を拡大し、他の交通モードに対する競争力を高めてほしい。日本の観光を盛り上げ、ひいてはJRグループ(鉄道)を活性化させるためには、交通モードが魅力という点で競争することが重要である。

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