JR東日本が強力ライバルであるはずの「航空会社」とタッグを組む切実事情
鉄道と航空は「ライバル同士」
コロナ禍の気配がまだ現れていなかった2018年11月8日、JR東日本とANAは地方誘客を目指した共同キャンペーンや訪日観光需要などへの対応で連携することを発表した。
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主に東北の観光復興に向けた取り組みだ。2019年8月28日に、両社は連携してMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)に取り組むことを明らかにした。
一般的に、JR(鉄道)と航空は、
「ライバル同士」
と見られることが多く、乗客の争奪戦を繰り広げている区間は多い。
実際、JR東日本・JR東海・JR西日本にとって、航空会社は強力なライバルである。JR東海では東海道新幹線が“ドル箱”だが、航空や高速バスなどと競合する。
新大阪を越えて、直通列車が多数運行されているJR西日本山陽新幹線新神戸や岡山、広島などのエリアへも羽田空港から航空便が運航されており、JRと航空会社はサービスを競い合っている。
両社が手を組む理由
2001(平成13)年9月3日に開始されたJR東海の新幹線予約サービス「エクスプレス予約」は当初、東京~新大阪の各駅間のみしか予約できなかったが、2005年12月10日に山陽新幹線新神戸駅発着の予約が可能に。
2006年7月22日には山陽新幹線全区間に対象が拡大され、対航空の競争優位を高めることにつながった(なお、2012年10月9日から2017年9月1日まで提供されていた「プラスEX」は、山陽新幹線区間は非対応であった)。
2022年6月25日には、九州新幹線博多~鹿児島中央間も予約が可能となった。JR東海・JR西日本・JR九州は、航空便へ対峙(たいじ)するうえで、同盟・補完関係にあるといえる。
また、JR東日本においても、東京~秋田間などでは新幹線と航空会社は競合する。それでも、JR東日本はANAと手を組む選択に踏み切った。なぜか。それは、JR東日本にとって、
「自社管内への乗客の囲い込み」
が最優先事項だからである。