世界で縮小「鉄道の食堂車・車内販売」 薄れていくその必要性 欧州は地域で差
日本の鉄道と同様に、欧州の鉄道でも食堂車や車内販売が縮小している。一方で、中欧地域ではいまもサービスが充実しているなど、地域でも差が生じている。背景にあるのが技術の進歩。今後、再びサービスが活発になる日は来るのだろうか。
食堂車縮小を転換したドイツ

フランスとベルギー、オランダ、ドイツの間を結ぶ高速列車タリスでは、1等車の乗客全員へ提供されていた食事を取り止め、食事付き運賃と食事なし運賃に分けて販売されるようになった。本格的なコース料理が特徴だったイタリアの高速列車フレッチャロッサは、昼食や夕食時間帯以外の食堂車の営業を取り止め、料理もアラカルトメニューへ変更された。イタリアの場合、在来線の都市間特急インターシティ以下の列車では、車内販売すら取り止めてしまい、長距離を走る列車では食事の調達が大きな課題となる。
やはり残念な話題が多いヨーロッパだが、そんな中でも健闘しているのがドイツやオーストリア、それに中欧各国である。多くの優等列車で、現在も食堂車が営業され、車内販売も行われている。
ドイツはかつて、食堂車を縮小させる方向へ進み、高速列車ICE3型は食堂車ではなく売店(Bord Bistro)のみとなってしまったが、途中からその方針を転換。最新のICE4型ではレストランが復活し、ICE3型も車体更新の際の改造で食堂車が復活した。オーストリアは、同国を代表する優等列車レイルジェットで食堂車を営業している。
しかし、これらはあくまでサービスの一環で、そこに利益は期待できない。ドイツ鉄道の営業する食堂車では、2017年に8000万ユーロの売り上げを記録、ほぼ毎年同じくらいの収益があるが、営業に同額の経費が掛かっており、利益はほぼ0であった。