外国人タクシー運転手「採用拡大」は正しい判断か? 現役ドライバーの私が感じた、世論と現場の圧倒的“温度差”とは

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毎日新聞が9月12日、「タクシーなど外国人運転手を拡大 国交省「特定技能」に追加検討」という記事を配信し、インターネット上で話題となった。ヤフーニュースには4000件近いコメントが集まっている(9月21日朝時点)。

高すぎる就職の壁

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 人数が物語るように、外国人がタクシードライバーになるにはいくつかのハードルがある。

 東京都では、普通自動車「一種免許」は日本語か英語が選べる。しかし、タクシードライバーになるために必要な普通自動車「二種免許」は日本語しか対応していない。また、

・東京
・神奈川
・大阪

の特定指定地域と、

・名古屋
・神戸

などの指定地域でタクシードライバーになるには、地理試験に合格しなければならない。日本人でも一発合格が難しい地理試験は、言葉の壁に加え、日本の交通法規や地理を理解していない外国人にとっては非常に高いハードルである。

 外国人ドライバーを本格的に増やすには、二種免許や地理試験の問題文に英語を併記するなどして、ハードルを下げる必要がある。また、外国人ドライバーの雇用を計画しているタクシー会社は、彼らに向けた社員教育や管理体制を整えるなど、受け入れ態勢を万全にする必要がある。

乗客にヒアリングした結果

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 世間話という形で、筆者が乗客に外国人ドライバーの仕事についてどう思うか聞いてみたところ、

・地理がよくわからないのではないか
・運転技術など安全面が心配だ
・言葉が通じるかどうかが不安だ

という声が多かった。

 外国人観光客は、地理を知らない外国人ドライバーよりも、その土地に詳しい日本人ドライバーのタクシーに乗りたいだろう。もちろん、自国の言葉がわかるドライバーに安心するのは理解できる。

 しかし、私たち自身が彼らを外国人という

「先入観」

でしか認識していないことを忘れてはならない。

 先日もニュース番組で、83回も試験を受けてやっと合格した外国人タクシードライバーが紹介されていた。このような真面目に頑張る姿勢やタクシー会社の外国人に対する教育方針がメディアやタクシー会社から伝われば、むしろ日本のタクシードライバーよりも安全で快適に乗れるだろう。

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